2026年9月24日
この記事のカテゴリー : 修繕積立金・専有部の取り扱い

工事の中には、配管の更新工事も含まれています。
ただし、築20年以下のマンションでしたら、この配管の更新工事費用は長期修繕計画に計上されている金額よりも下げることができる可能性があります。
理由は、築20年以下のマンションだと、給水も給湯も排水も、錆びない材料の配管が使われている可能性が高く、配管交換が必要でないケースも多いからです。
にもかかわらず、築20年以下のマンションでも、昔の錆びやすい配管を前提にしたまま、今の長期修繕計画が組まれていることがあります。
その場合、そのままにしておくのではなく、早めに長期修繕計画を見直す必要があります。
配管の材質が錆びない材料に切り替わった時期は、場所によってばらつきがあります。
築20年を超えるマンションでも、錆びない材料が使われていることはありますので、築20年以下に当てはまらない方も、「ウチのマンションはどうだろうか?」という視点でこの投稿記事をご覧いただけたらと思います。
なお、今回のお話は、やみくもに長期修繕計画を下げようという話ではありません。
マンションによってはそのまま予算化しておいたほうがいいという場合もあります。
そういったこともあわせてお話ししますので、ぜひ最後までご覧ください。
さっそくですが、この表をご覧ください。マンションの築年数を横に、部位別の配管を縦に並べたものです。
赤茶色が錆びる材料、緑が錆びない材料です。上下に分かれている欄は、その年代は両方が混在しているという意味です。
なお、この表は、かなりざっくりしたものです。地域やデベロッパーによって事情が違います。
ここに書いた時期より早く新しい材料が使われていることもありますし、表に載せていない管、たとえば耐衝撃性の塩ビ管(HIVP)といったものが使われていることもあります。
何年から何の材料に変わった、と厳密に線を引くための表ではありません。
ご自身のマンションが、だいたいどのあたりに位置するのか。それを大雑把に把握していただくためのものと思ってご覧ください。
左から右へ、つまり新しい建物になるほど、赤茶色が減って緑が増えていきます。今日ご覧いただきたいのは、一番右の、築20年以下の列です。
専有部の給水・給湯・排水管が、すべて緑になっています。そして共用部の給水の立て管だけが、いまも混在のまま残っています。
この築20年以下の列を、上から順番に見ていきます。
ここまで見てきた通り、築20年以下の建物では、給水管の立管以外は、ほとんど錆びない配管が使われていると言えます。
にも拘わらず、長期修繕計画には、築40年の建物と変わらない金額で配管の更新工事の費用が計上されていることがあります。
これは、どの管理会社もそうだとは言えませんが、配管が新しい材質になり、耐久性が増していることを考慮せず、これまで作成してきた長期修繕計画の考え方を使いまわしてしまっているというのが大きな原因のひとつとなっています。
たとえば、私が見てきた範囲では、排水管の立管が各住戸に2本あるような築年数の経過したマンションでは、共用部の給水管・排水管の立管を取替えるには世帯あたり80万円以上かかります。
それと専有部の配管については、築30年以上のマンションではこれまでは長期修繕計画に組み込まれていませんでした。
ところが国内のマンションの漏水の大半が給湯管の銅管からということで、管理組合主導で、専有部の給水・給湯管を一斉更新しようとする動きが加速しています。
その場合、ファミリータイプでは世帯あたり80万円程度はかかってきます。
共用部と専有部を合計すると、世帯あたり160万円で、最近の大規模修繕の1回分に相当するようなかなり高額な費用となります。
つまり、これらの配管の取替え費用を長期修繕計画に計上するかどうかで、修繕積立金の金額は大きく変わってきます。
ここで、ご注意いただきたいことは、錆びない材料が使われているから今後、その錆びない配管の取替え費用は長期修繕計画に計上しなくてもいいということには、ならないということです。
全て取り替える費用を計上する必要はないとしても、ある程度の予備費を確保しておく必要があるといえます。
樹脂の管でも割れることがあります。たとえばポリブテン管は、施工のときに曲げすぎたために、そこから漏水したという問い合わせは少なくありません。
配管保全センターへの漏水のご相談では、ポリブテン管のほうが多いですが、架橋ポリエチレン管のご相談もゼロというわけではありません。
また、排水管では、高圧洗浄が漏水の原因になることがあります。
高圧洗浄のコードが擦れて排水管の曲がり角、いわゆるエルボー部を傷め、そこから漏水することがあります。
その他、排水管は、捨て方のマナーが悪かったり、高圧洗浄が長期にわたり手抜き等でしっかり実施されていないと、配管内で汚物が硬くなって閉塞し、詰まりのトラブルが頻発するリスクが高まります。
とはいえ、高圧洗浄は頻繁に行うと配管の破損リスクも高めます。
そこで代替案として配管への負担が少ないムース洗浄工法や、配管の保全装置の設置といった方法を検討することもおすすめできます。
さらに、共用部でステンレス管が使われている場合、継手にパッキンを使っている工法でしたら、地震のときにそこから漏水することもありえます。
管そのものではなく、継ぎ目が弱点になります。
ですから、配管関連の予算をゼロにするという話にはなりませんが、全面更新を前提にした金額ではなく、部分補修と、その予備費に置き直していく。
そういう考え方に調整していくと良いでしょう。
一斉更新した場合の更新費用の何割程度を予備費として計上しておけばいいのかというテーマについては、答えが出るものではないですが、1~2割積んでおけば、いざという時に困らないのではと考えています。
ここまでは、建物内の配管の話でしたが、敷地内の屋外の埋設管についても、触れておきます。
屋外で該当する給水管は、道路からマンション敷地内に入ったすぐのところあたりにある親メーターまわりから建物に入るまでの埋設管です。
そして、排水管は、一般的には、建物から屋外に出る貫通部から、公共桝までの配管と、途中の排水桝です。
(築年数の古いマンションでは、公共桝がない場合もあります。)
これらの埋設管は、長期修繕計画に盛り込まれている場合と盛り込まれていない場合と、マンションによってマチマチです。
築20年以下の場合は、給水管は耐震性にもすぐれたポリエチレン管が用いられていることが多いです。
排水管の埋設管は塩ビ管の場合が多く、どちらも錆びない材質となっていることが多いと思われます。
ただ、埋設された排水管については、地盤沈下、地震等により破損や欠落、逆勾配が起こりえます。
破損したすき間に木の根が入り込んで詰まりの原因になることもあります。
こういった不具合を改修する場合は、配管工事というより土木工事になります。
埋設された配管を掘り出して交換し、埋め戻して、アスファルトやタイルを元に戻す。植栽があれば、それも掘り起こすことになります。
その際、根から掘り起こして植え直しても、ほとんど枯れてしまいますので、植え替えの費用まで見ておく必要があります。
ですから、屋外の排水管や排水桝を一斉に更新するとなると、費用はかなりかかります。
ここも、部分補修費や予備費で対応することになります。
誰もどれだけ地盤沈下等が起こるか読めないので、予備費として何割が妥当かといった算出は難しいですが、敷地の広さ等も含め総合的に判断して、たとえば最低限でも200万円予備費として計上しておくのが無難かと考えます。
管理組合により異なりますが、一斉更新を前提で予算計上をしているところはあまりないかと考えます。
