2026年6月10日
この記事のカテゴリー : 修繕積立金・専有部の取り扱い

これに関して、2026年4月に施行された区分所有法の改正は皆さまにとって朗報といえると思います。
改正により、管理組合にとっては、一斉更新をしやすい環境になったからです。
条件を整える必要はありますが、共用部分の配管を更新する工事に併せて、つながっている専有部分の配管も一緒に、管理組合が主導して、修繕積立金を使ってまとめて更新していく。そうした進め方が、以前より取り組みやすくなったということです。
各ご家庭がバラバラのタイミングで替えるのではなく、組合が計画的に、まとめて取り替えていく、という流れです。
そこで今回は、「で、うちのマンションは、いったい何をすればいいの?」という理事会の皆さんの疑問にお答えして、組合が進めるべき手順を、4つのステップに整理してお話しします。ぜひ最後までご覧ください。
ですから、これからお話する4つのステップは「これさえやれば、誰一人反対せず、すんなり進む」というものではありません。
そうではなく、「進め方として筋を通しておくことで、後々のトラブルをできるだけ減らし、たとえもめたときにも、組合として、誠実に手順を踏んできた、と言える状態にしておく」ための、いわば備えと言えます。
配管の問題から目をそらして先延ばしにすれば、マンションのスラム化リスクが高まります。
マンションの将来を本気で守ろうとするのであれば、もめることも承知で進む覚悟も必要になります。
それでは、4つのステップを順番に見ていきましょう。
一つは、「組合が、専有部分の配管も共用部分と一体で更新できる」という定めです。
もう一つは、「その工事費用に、修繕積立金を使ってよい」という定めです。
そしてもう一つ、実際に規約を整えたマンションでよく加えられているのが、「正当な理由がなければ、各世帯は専有部の工事を断れない。
ただし、すでに自分で配管を新しくした人については、別途、配慮する」という定めです。
お住まいのマンションの状況に合わせて、整えていくことになりますが、規約の書き方ひとつで扱いが変わる専門的な部分です。
マンション管理士など専門家に整えてもらうのが確実です。
規約の面が整ったら、いつ、どれくらいの費用をかけて行うのか? 具体的に進めていきましょう。
専有部分の配管更新を長期修繕計画に盛り込んで、「いつごろ、これくらいの規模で実施する」という計画を、組合の中で共有します。
専有部分まで含めて更新すれば、当然、これまでの計画より費用はふくらみます。
修繕積立金が足りるのか、足りないならどう備えるのか。
計画に組み込むとは、この資金の見通しまで含めて考える、ということです。
長期修繕計画への組み込みに関連して、こちらの動画もご参考にしてください。
積立金不足を解消!!AI修繕ドクターで何ができる?内容と費用の解説 後編
「すでに自費で配管を替えた人は、どうなるの?」という点ですね。
リフォームのときに、ご自分のお金で配管を新しくされた方もいらっしゃいます。
その方々からすれば「自腹で既に更新したのに、二重に更新費用を払うようなものではないか」と、不公平感が生まれてしまいます。
この点については、今回の改正内容でも「先に替えた方への公平な配慮をすべきだ」という考え方を示しています。
ですから、すでに更新済みの方には、その分を補償するなど、公平になるような調整をした上で進めていく、という流れになります。
もう一つ、内装の復旧についてです。工事で壁や床を開ければ元に戻す必要がありますが、組合の費用で戻すのは、あくまで標準的な仕様までです。
「せっかくだから、もっと良いグレードにしたい」という場合、その差額はご本人の負担になります。
全員の積立金から、特定の方だけ高い費用を出してしまうと、かえって不公平になるからです。
補償額の計算方法については、こちらの動画も参考にしてみてください。
専有部配管 一斉更新 既に配管を取替え済みの住戸への補償方法
ここが、4つのステップの中でも、いちばんの核になる部分です。
規約を見直すにも、長期修繕計画を変えるにも、工事を実施するにも、総会での決議が欠かせません。
理事会だけで決められることではありませんので、住民の皆さんにきちんと説明し、合意を積み上げていく必要があります。
ここで皆さんとしては「過半数で通るのか、4分の3の賛成がいるのか」どちらで決議をとるのかという疑問があると思います。
普通決議の過半数で決議をとることのほうが、多いと思いますが、どこまでの工事を、どういう形で行うのか。
それによって変わってきますので、専門家にご確認ください。
法律が変わって新しい道が開けたとはいえ、実際に進めるには、こうしたステップを一つずつ踏んでいく必要があります。
決して簡単な道のりではありません。それでも、専有部分の配管を放置したまま、漏水が頻発するマンションになってしまうことを考えれば、今、この準備に取りかかる意味は、とても大きいと言えます。
「うちの規約だと、何から手をつければいいのか」「長期修繕計画に、どう盛り込めばいいのか」「先に替えた人への補償を、どう考えればいいのか」。
こうしたお悩みをお持ちの理事会の皆さんは、配管保全センターにご相談ください。
私たちは、特定の工法や業者に縛られない中立的な立場で、皆さんのマンションの事情に合わせた、無理のない保全の進め方を、マンション管理士さん等とも連携しながらご提案しております
