2026年2月11日
この記事のカテゴリー : 修繕積立金・専有部の取り扱い

これまでは、管理組合が「管理会社を取替えるぞ」と強気に出る側でした。
しかし今はその逆で、「管理会社が業務契約を解約する」ケースが増えてきています。
大きな原因としては、管理組合との窓口になる管理会社のフロント担当者の不足が限界に達していることがあげられます。
一人の担当者が抱える管理組合の件数には限りがあるため、管理会社は今、「手がかかる組合」や「利益が出ない組合」を次々と切り捨てています。
具体的に、どんな組合が切り捨てられるのか。
一つ目は、いわゆる「カスハラ(カスタマーハラスメント)がある組合」です。
フロントマンを怒鳴ることが常態化してしまっている組合は、今の時代、かなり解約される可能性が高くなっています。
二つ目は、組合が賢くなって「財布の紐を締めすぎる組合」です。
相見積もりを徹底して、管理会社の中間マージンを一切認めない。
これは組合にとっては正しいことですが、修繕工事からの利益をあてにしている類の管理会社からすれば「手間ばかりかかって一円も儲からないボランティア先」に見えます。
そうなると、彼らもビジネスですから撤退を選ぶ可能性が高くなります。
そして三つ目は、「お金がないマンション組合」です。小規模のマンションだと、どうしても管理委託費の総額が低くなります。
また、これはひどい話ではあるのですが、組合が無関心なのをいいことに、一生懸命貯めた修繕積立金をほぼ吸い取って、この先は年金生活者も増えて、美味しい汁が吸えなくなったと判断された組合も解約対象となります。
住民にしてみれば、「管理会社を信じていたのに裏切られてしまった」という感じですね。
つまり、「依存しすぎてもダメ、厳しくしすぎてもダメ」という、非常に難しい舵取りが求められている世の中になったというわけです。
「何を言っているんだ。ただでさえ、理事の成り手がないのに、自分たちで工事のことなんてわかるわけないじゃないか」と思われるかもしれません。
もちろん、皆さんは工事の専門家ではありませんから、わからなくて当然です。
でも、日常的な「管理業務」を依頼しているからと言って、「工事業務」についても管理会社に依頼する必要はありません。
「工事業務」については「中立的なコンサルタント」を賢く使って、組合主導で判断していくということです。
管理会社は日常的な「管理業務」に関しては得意分野ですが、「工事業務」については多くの管理会社では専門外であり、設計コンサルや施工会社に丸投げしている管理会社は驚くほど多いです。
たとえば、ここにきんちゃく袋があると思ってください。
そのきんちゃく袋には「管理会社」という名札が付いていて、これを開くと、「受付・清掃・ゴミ出し・理事会進行・大規模修繕・配管更新・・・」と日常的な「管理業務」と「工事業務」がごちゃになって一緒に入っちゃってるというようなイメージなんです。
本来ならば「工事業務」は別のきんちゃく袋を用意すべきだと言うことです。
「管理会社」のきんちゃく袋の中に、何でもかんでも放り込んで、そこだけを頼りにマンション管理や修繕工事を行うのは、賢明ではないということをお伝えしたいのです。
たとえば、工事に応募できる業者の条件を資本金1億円以上とか、建設業許可は「一般」ではなく「特定」でなくてはだめとか、ISOの認定を取っているとか、わざと少数の業者しか応募できないような条件にしてしまうことで、かなり談合がやりやすくなります。
また、コンサルが想定していない業者を管理組合が見つけてきたとしても、「安かろう悪かろう」だからとケチをつけて、選定から外してしまうことが多くなります。
こういったことをコンサルにさせてしまわないように、業者選定は組合主導で行うことが大切です。
ただ、何もわからない理事会がコンサルに頼らずに、業者選定を本当にできるのかという懸念はどうしても残ります。
ここについては、業者選定のみを中立的な立場で行ってくれるサービスをしてくれる会社も増えてきていますので、そういったところを活用するのが賢い業者選定に繋がるかと考えます。
なお、配管の取替え工事に関しては、仕様自体がそれほど難しいものではなく、仕様を決める設計作業がほとんど必要ないといっても過言ではありません。
配管の工事関連で本当に必要なのは、「どの配管を、いつ、どの優先順位で直すべきか」という、マンションの寿命を見据えた的確な判断です。
そこさえしっかりしていれば、工事自体は実績豊富で質が良く安価な専門の施工会社に直接発注するのが、最も効率的で安上がりとなります。
配管工事に関しては、手前みそになりますが、配管保全センターにご依頼いただければ、適切なアドバイスと、必要な工事を行える実績豊富で安価な施工業者をご紹介可能です。
管理費が相場より極端に安い会社は、必ずどこかで利益を回収しようとします。
そのターゲットになるのが、皆さんの修繕積立金です。
配管を丸ごと全部取り替えさせたり、不要な大規模修繕を勧めたりして、工事マージンで帳尻を合わせるわけです。
入口の安さに惑わされると、結果として数千万円、数億円単位の損をすることになりかねません。
本当にいい管理会社を選ぶなら、この質問を投げかけてみてください。
「御社が既に管理している組合の方と、直接お話しさせていただけますか?」
やましいことがない管理会社なら、「どうぞ、いくらでも訪問してしてください」と胸を張って答えるはずです。
しかも、訪問する組合は、管理組合がランダムに選べるようにしてもらいましょう。
複数の組合さんと話せれば、どのような方針で組合に向き合っているのか、その管理会社の姿勢が必ず見えてきます。
管理組合と自由に話す機会を提供してくれるかどうかは、信頼できるパートナーかどうかを確かめる最大の踏み絵になります。
