2025年9月27日
この記事のカテゴリー : 排水管の保全

特に、タワーマンションではディスポーザーが使用されていることが多く、そのため、食材が排水管内に蓄積しやすく、排水管内が微生物の温床となりやすい傾向にあると言えます。
また、地盤沈下により屋外の排水管が逆勾配になってしまい、排水が滞留しやすくなっているケースも見られます。
これらの複合的な要因により、築20年程度のマンションでも深刻な排水管の劣化が引き起こされていると考えられます。
特に、排水管が各住戸のトイレの裏やキッチンの横の壁にある場合は、外から排水管の状態を確認するのは、点検口があったとしても難しいと言えます。
水道メーターやガスメーターがあるパイプシャフトの中に、排水管の立管が見える場合は、外見から縦割れしていないかを目視できる可能性はあります。
他の診断方法としては、超音波による肉厚測定があります。
これは配管の厚みを測定して劣化具合を判断する方法ですが、露出している部分しか測定できないという制約があります。
その他にも、硫化水素濃度を測定して縦割れをしていないか確かめる方法もあります。
排水管の立管の掃除口を開けて、専用測定器を使って硫化水素濃度を測定します。
縦割れを起こしている場合は、硫化水素濃度が通常より高い傾向があり、それにより、他の立管でも縦割れが起こりそうかどうかをある程度、予測できますが、あくまで予測の範囲となります。
定期的な高圧洗浄も重要な予防策の一つではありますが、それだけで十分とはいえません。
また、屋外が地盤沈下して排水管が逆勾配になっているような場合は、土木作業も伴い、かなり高額な工事費用となることが多いです。
漏水が起きるたびに部分補修するのは、必要最低限の補修費用で済むとも言えますが、緊急で対応する必要があり、ボリュームメリットも得られないので、工事費用は最終的には割高になります。
また、部分補修するたびに、同系統の上の階の住戸は断水となるので、生活上の不便さが増します。
一方、一斉更新をする場合はボリュームメリットも得られ、複数業者から相見積もりを取り、業者選定の時間も十分とることができます。
断水も一斉更新の期間のみとなります。
ただし、一度に高額な工事費用が必要となるので、他の大規模修繕をできなくなったりと、悩ましいところではあります。
ここ3年程度は、年間10%ずつ程度、工事費用の値上がりが続いており、今後もこの傾向は続くと思われるので、資金的な余裕があれば、早めに一斉更新をするほうが長期的には工事費用を抑えられる可能性はあります。
よくお問合せで、「マンションの開発を行った業者に、瑕疵対応として配管取替えを無料で行わせることはできないか?」とご質問いただくことがあります。
瑕疵対応というのは、施行業者が行った工事に不具合があり、その問題に対応するということですが、築20年前後で発生するトラブルのため、そこを掘り起こすのはなかなか難しい状況のようです。
今回は築20年前後のマンションで発生している鋳鉄管の縦割れ問題について解説しました。 重要なポイントをまとめると、第一に微生物腐食という劣化要因が従来の予想を超える速度で配管を劣化させていること。 第二に完璧な診断方法は存在しないということ。第三に予防策として日常的なディスポーザーの使い方の見直しと排水管の定期メンテナンスが重要であること。 そして最後に、問題が発生した場合は早期対応が費用面でも有利であることとなります。 理事会の皆様には、これらの情報を参考に、お住まいのマンションの状況に応じた適切な判断をしていただければと思います。 配管保全センターでは、今後もマンションの配管に関する最新情報をお届けしてまいります。ご質問やご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
