2025年6月13日
この記事のカテゴリー : 漏水に関する保険

このような状況に際し、「もう保険料は下がることはない」と諦めてしまっている管理組合さんもいらっしゃるかもしれません。
確かに保険料は全体的に上昇傾向にありますが、個々のマンションの状況を適切に評価し、最適なタイミングでアクションを起こせば、大幅なコスト削減を実現できる可能性はあります。
重要なのは、単に「保険料が高い」と嘆くのではなく、その原因を知り、対策を練って、戦略的に動くことです。
私たちはこれまで多くのマンションの配管保全に携わってきましたが、その中で保険料に関するご相談も数多く受けてきました。その経験から言えるのは、決して難しく考える必要はないということです。
保険料を下げるために管理組合でも対処できることがあることを知っているかどうか、そして適切なタイミングで行動できるかどうかが、明暗を分ける大きなポイントとなります。
このような状況で、管理組合さんが加入していた火災保険の既存の保険料は、年間132万円という金額でした。
築年数が古く、事故歴もあるため、安いとは言えない金額になっていました。
しかし、今回、見直しを行った結果、驚くべきことに、見積もり額がなんと年間38万円にまで下がったのです。
これは、実に70%以上の削減に相当し、5年間で500万円近くの修繕積立金の節減になります。
なぜ、これほどまでに劇的な削減が可能だったのでしょうか。
その最大のポイントは、「最近、給水管・給湯管を更新工事したこと」でした。
そして、この大幅な削減を可能にしたもう一つの要素が、大手保険会社の日新火災が手掛ける「マンションドクター」というサービスが行っている「マンション管理適正化診断サービス」を活用したことです。
こちらのマンションでは、配管の更新工事を行った後に、日新火災の「マンション管理適正化診断サービス」を受けて、50点以上の評価を受けることができました。
50点は低いのではと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、マンションドクターは50点以上かどうかで、保険料が大きく変わってきます。
通常、過去に事故歴があると保険料が上がりがちですが、配管の更新工事という大きな改修を行い、さらに管理状況の評価が高かったことが、今回の驚くべき保険料削減へとつながりました。
この事例では、マンションの管理状況や、給水管・給湯管・排水管の状態が、保険料査定に大きく影響することが明確に示されています。
築30年以上のマンションであっても、配管の工事が済み、なおかつ漏水事故発生率が低ければ、大幅に安い見積もりが出る可能性が十分にあります。
この診断サービスは、マンションの管理状況を客観的に評価してくれるため、保険会社にとっても信頼性の高い判断材料となるのです。
なお、見積もりを取る際は、最低限、大手損保5社全てから取ってください。
多くの保険会社では、保険契約の更新月の半年前から遡って、2年間の事故歴を査定の対象とするのが一般的です。
一部の損保会社は2年間でなく1年間が査定期間となっています。
もし、直近の事故から2年半以上が経過していれば、別の損保会社に乗り換える場合には、査定期間の事故件数がゼロとして評価されることになります。
事故歴がゼロと評価されれば、当然ながら保険料は下がる方向に働きます。
ですから、最後の事故から一定期間が経過したことを確認し、そのタイミングで改めて診断サービスを受け、他の大手4社の損保会社にも見積もりを依頼してみるのは、非常に有効な戦略となります。
これらのタイミングに共通して言えるのは、マンションの安全性や管理状況が向上した、あるいは向上したと評価される瞬間が、保険料大幅削減のチャンスであるということです。
ただ漠然と保険料が高いと嘆くのではなく、具体的な工事や事故歴などの状況を把握し、戦略的に行動することが重要になります。
