2026年10月2日
この記事のカテゴリー : その他 維持費削減の耳より情報

公正取引委員会は談合を行っていた設計コンサルタント会社2社と工事会社数十社を独占禁止法違反と認定し、「今後同じことをしない」「社内の体制を見直す」といった措置をとるよう行政処分を下しました。
施工会社に対しては、違反の対象となった売上に応じて、国に課徴金を納めるよう命じています。課徴金は合計で約16億円とされています。
一連の報道を受けて、「これで談合がなくなり、公平な競争が行われるようになるだろう」と思った方もいらっしゃるかもしれません。
ですが残念ながら、談合はこれでなくなるわけではありません。
課徴金は、最も大きい会社でも数億円です。
大規模修繕の工事は毎年、何十億、何百億円という規模で動いていますから、数年に一度の摘発であれば、必要経費として割り切られてしまうおそれがあります。
管理組合の皆さんには、今回の処分を談合の終わりではなく、工事の発注の仕方を見直すきっかけ、つまり始まりだと考えていただきたいと思います。
公表されたマンション名や設計コンサル、施工会社の名前を見て、「うちは該当しなかったから大丈夫」と思われた方もいるかもしれません。
ですが、今回公表されたのは、あくまで調査により確認できたところだけで、これはほんの氷山の一角といえるでしょう。
今回、名前が出なかった設計コンサルや施工会社、また、関東以外の地域でも、同じような構造があると考えるほうが自然です。
そもそも、なぜ談合が起きるのでしょうか? 一番の原因は、工事に関して、管理組合と業者の知識の差です。
何千万円、何億円という工事を発注するのに、管理組合の側には、その金額が高いのか安いのかを判断する材料がほとんどありません。
そこで多くの管理組合では、普段付き合いのある管理会社から紹介された設計コンサルを信じて丸投げすることになります。
つまり、設計から業者選びまでを一社の設計コンサルがすべて握れる仕組みができあがり、特定の業者にだけ予算を伝え、ほかの業者には高めの見積もりを出してもらうといった、いわゆる談合の仕組みが、外からは見えない形で簡単にできてしまうのです。
ニュースで報道されたのは外壁や防水の工事業者が中心でしたが、配管工事においてもまったく同じ構造があるといえます。
壁の中や床下にある配管を扱い、目に見えないぶん、むしろ配管工事は工事の内容や金額が適正かどうかを判断しにくい工事と言えます。
ではここからは、配管工事で施工業者を選択する際に、どうしたら談合が絡む高い見積りを回避できるか、マンション管理組合の皆さんが、具体的に何に気をつければよいのかをお話しします。
まず知っておいていただきたいのは、配管工事の仕様は、実はそれほど複雑ではないということです。
どんな配管がどこに通っていて、どういった工法が採用できるのか。
これは経験のある施工会社であれば、1〜2時間ほどの現地調査でほとんど把握できます。
一方で、設計コンサルの多くは、新築の設計については豊富な知識を持っていますが、改修工事、とくに配管の改修については経験が少ないことが多いのが実情です。
すべての会社がそうだとは言いませんが、実際には施工会社に調べさせた内容をまとめて仕様書にしているというのが現状でしょう。
そうであれば、配管工事では、設計コンサルにお金を払って調査や仕様書を頼む必要は、ほとんどないということです。
また、どういった材質の配管を用いるべきかについても、それほど検討を要せずとも適切な材質を選択できます。
ですから、管理組合が複数の施工会社に声を掛けて、現地を調査してもらい、それぞれに工法の提案をしてもらえばいいということになります。
それでも、管理組合の負担を考えて設計コンサルに頼みたいという場合もあると思います。
そのときに一番大事なのは、設計から業者選びまでを一社にすべて任せないことです。
具体的には、設計コンサルには発注の権限を渡さず、どの業者に頼むかは管理組合が決めるという形にします。
最初からそう伝えておくと、バックマージンを目当てにしている会社は、そもそも手を挙げてこなくなります。
業者選びに関われないのであれば、うまみがないからです。
最近は、設計コンサルとの契約にペナルティ条項を入れましょう、という話もよく聞きます。入れておくこと自体は悪くありません。
ただ、サインをしてもらったから安心、とは考えないでください。
談合を続けるつもりの会社であったとしても、平然とサインするはずです。
ペナルティ条項は、万が一発覚したときにお金を取り戻しやすくするための保険であって、談合を防いでくれる仕組みではありません。
それから、自分たちで別の会社から見積もりを取るときは、その会社の名前を設計コンサルや管理会社に伝えないようにしておくことも大切です。
場合によっては、彼らが裏で、その業者に圧力をかけてくる可能性が十分に考えられるからです。
次に気をつけていただきたいのが、見積もりに参加できる会社の条件です。
業者を募集するときに、「国際標準化機構が定めた国際的な規格であるISOを取得していること」また、「資本金が一定額以上あること」といった条件がつけられていることがよくあります。
一見、しっかりした会社を選ぶための条件に見えますが、条件を厳しくするほど参加できる会社は減り、どこでも毎回同じ顔ぶれでの見積もり合わせになりやすくなります。
これでは、依頼する立場である管理組合自身が、談合しやすい環境を自分たちでつくっているのと変わりません。
条件は、できるだけつけないことをおすすめします。
会社の規模が小さいと、工事のあとに何かあったときが心配だ、という声もあります。
ですが、現在では瑕疵(かし)保険という制度が十分浸透してきており、万が一工事に不具合があったときの備えができます。
ですから、会社の規模で参加条件を決める時代ではなくなったといえます。
もうひとつ確認していただきたいのが、建設業許可の種類です。建設業許可には、一般建設業許可と特定建設業許可があります。
配管工事の多くは、一般建設業許可で対応できる規模です。特定建設業許可は、元請けとして大きな金額を下請けに出す会社に必要な許可です。
この場合、下請け、孫請けと構造が深くなりやすく、そのぶん割高になりやすい傾向があります。
特定建設業許可を持っているから悪いというわけではありませんが、実際に自分たちで施工する会社かどうかを見極めるひとつの目安になります。
談合する側にとって一番ありがたいのは、住民の無関心です。
修繕積立金が少し上がるくらいなら仕方ない、面倒だから任せておこう。そうした空気があるほど、割高な発注は通りやすくなります。
そして、その影響はすぐには表れず、何十年か先の修繕積立金不足という形で返ってきます。
とはいえ、住民全員に関心を持ってもらうのは、現実にはとても難しいことです。
理事会の皆さんも、そこでたいへん苦労されていることと思います。
だからこそ、住民に理解してもらおうとするより、理事会のメンバーで、修繕工事を発注する際の仕組みを決めておくことが大切です。
「設計コンサルに業者を選定させない」「見積もりの参加条件はつけない」「住民からも自由に業者を推薦できるようにしておく」「業者を選定した際にはその理由を議事録に残して住民に公開する」こうした仕組みが出来ていれば、住民の関心の高い低いに左右されにくくなりますし、役員が交代しても同じやり方を引き継ぐことができます。
談合は、今回の公正取引委員会の命令により、今後なくなるかというと、そういうわけではありません。
そうであるならば、なくならないことを前提に、管理組合では修繕工事を発注する際の仕組みを整えるなど、自らの身を守る行動を取ることが大切であるといえます。
配管工事であれば、仕様は現地調査でほぼ分かります。
設計コンサルに頼むとしても発注権限は渡さず、見積もりの参加条件はできるだけつけない。
この二つを押さえるだけでも、状況は大きく変わります。
配管保全センターでは、「うちが紹介した施工業者以外は信用できない」といった囲い込みはしていません。
管理組合さんには、配管保全センター以外からも、自由に相見積もりを取ってもらっています。
そのうえで比べていただいた結果、設計コンサルが示していた金額の半分以下になったケースも少なくありません。
どの会社を選ぶかは、最終的に住民の皆さんが決めることです。
私たちが紹介した会社が選ばれなければ、私たちの収益はありません。
それでも続けてこられたのは、見積りに公平性を持たせ、競争力のある施工会社さんとタッグを組めているからだと考えています。
すでに設計コンサルが入っているマンションから、見積もりのご依頼をいただくこともあります。
その場合は、最終的な判断は管理組合にあるという前提で、かつ、私たちを選ばないという結果になる場合は、その理由をきちんとお伝えいただくという前提であれば、見積もりに参加させていただいております。
配管保全センターにご連絡いただいてから、見積もりのご提示までは、おおむね2週間から1か月ほどです。
こちらからは、必要な工事だけをご提案するほか、ご要望があれば長期修繕計画の見直しや規約の改定についてもご相談いただけます。
気になることがあれば、お気軽にお問い合わせください。
