2026年4月15日
この記事のカテゴリー : 給水・給湯管の保全

まず基本的なことをお話しします。
給水管の立管を更新する際には、大きく分けて「隠蔽配管」と「露出配管」という2つの工法があります。
各世帯の玄関横に扉のついたスペースがありますが、これはパイプシャフトといって配管の点検や取替えのために設けられたスペースです。
隠蔽配管というのは、このパイプシャフト内に新しい配管を通す工法で、外からは配管は見えません。
一方の露出配管は、廊下の壁や外壁に沿って配管を通す工法です。見た目は隠蔽配管と比べて見劣りしますが、以前は費用を安くするための選択肢でした。
ただ、この「以前は」というところが今は変わってきています。
これは後でお話しします。
どちらの工法になるかは、パイプシャフトの中の状況を実際に見てみないと判断できません。
そして、パイプシャフトの状況次第で、工事の手間も違ってくるので費用も大きく変わります。
このあたりのことを今回はお話します。
今回の投稿記事は、給水管の立管の取替え工事を検討されている管理組合さんにとってとても役立つ情報ですので、ぜひ最後までご覧ください。
パイプシャフトの中には、給水管の立管だけでなく、ガス管やガスメーター、排水管など、さまざまな設備が収まっています。
給水管の立管が前のほうに配管されている場合は比較的作業はやりやすいですが、奥のほうに追いやられている場合は、取替え作業がかなりやりにくくなります。
また、給水管の立管の周りに十分なスペースがある場合は、油圧の専用工具を使って、コンクリートのスラブを壊すことなく、既存の配管を静かに引き抜くことができます。
コンクリートのはつり工事も不要なので、住民への騒音の影響を最小限に抑えられます。
一方、周りにスペースがなくて油圧の専用工具を使えない場合は、既存の給水管を撤去してそこに新しい配管を新設するために、コンクリートをはつる大がかりな作業が必要になります。
騒音も出ますし、費用も引抜工具を使う場合よりも高くなりがちです。
もうひとつ見落とされがちなのが、ガスメーターの問題です。
作業の邪魔になるため、ガスメーターを一時的に取り外す必要がある場合、ガス会社に別途依頼しなければなりません。
このガス会社への費用も世帯あたり数万円するのでばかになりません。
さらに、パイプシャフトの上部に建物の躯体がせり出しているケースでは、人がそのすき間で配管の撤去作業をしなければならず、作業がかなり困難になることもあります。
また、これは意外に思われるかもしれませんが、職人の体格によって、狭いパイプシャフトの中で作業できるかどうかが変わる、ということも実際の現場で起きることです。
スリムな体系の職人であれば、狭いスペースにも入り込んで作業ができてしまうということですね。
同じマンションでも、パイプシャフトの状況の違いだけで、見積もりがかなり変わってくるということが、お分かりいただけるのはないでしょうか。
先ほど、露出配管は「以前は費用を安くするための選択肢でした」とお話ししました。
ここで少し補足させてください。
露出配管にする場合、配管をそのままむき出しにするわけにはいきません。
紫外線による劣化等から守るために、保温材とステンレスのカバーで配管を覆う「ラッキング」と呼ばれる仕上げ工事が必要になります。
このラッキングに使うステンレス材が、ここ数年で大幅に値上がりしています。
その結果、以前は隠蔽配管より明らかに安かった露出配管の費用が、隠蔽配管とほぼ変わらない、あるいはそれ以上になるケースも出てきています。
つまり、「露出配管になるなら安くなるはず」という前提で見積もりを比較していると、判断を間違えることがあります。
今の市況を踏まえて、隠蔽・露出どちらが本当に得かを正確に判断するためにも、専門家に確認することが大切です。
次に、仮設配管についてお話しします。
これが今回の3つのポイントの中でも、最も見落とされやすく、費用への影響も大きいところです。
まず露出配管の場合は、仮設配管は原則として不要です。
隠蔽配管で既存の配管を抜いて同一ルートに新しい配管を通す場合は、工事中に各世帯への水の供給を確保するため、仮設の配管を一時的に組むのが一般的です。
この仮設配管の費用に加えて、仮設を組む分だけ断水日数が増えますので、住民への負担も増えます。
ただし、ここが重要なポイントなのですが、施工の段取りが上手く、手際よく作業できる業者であれば、既存の配管を抜いて新しい配管を通すまでの作業を1日で終わらせることができます。
1日で完了できれば、仮設配管は不要になり、費用も断水日数も減らせます。
費用も仮設配管を設置する場合よりも当然、安くなるということになります。
1日でできるかどうかは、先ほどお話ししたパイプシャフト内の状況、つまり立管が取り出しやすい位置にあるかどうかにかかっています。
また、既存の配管を抜かずに、パイプシャフト内に新しいルートで配管を新設する方法もあります。
この場合も仮設配管は不要です。
コンクリートのスラブに新たに穴を開ける必要がありますが、探知機で鉄筋の位置を確認しながら作業をすれば、鉄筋を傷つけるリスクを低くすることは可能です。
耐震強度への影響を気にされる方が多いですが、実質的にはあまり影響を受けないと言われています。
つまり、見積もりに仮設配管の費用が含まれていたとしても、それが本当に必要なのかどうかは、施工業者の技術力とパイプシャフト内の状況次第です。
鵜呑みにせずに、一度確認することをお勧めします。
最後に、設計コンサルタントについてお話しします。
大規模修繕工事の際には、設計コンサルタントに調査と数カ月から数年に及ぶ設計を依頼し、その後に施工業者を選ぶという流れを勧める管理会社もあります。
これには数百万円の設計費用がかかることもあります。
大規模修繕などの全体の修繕ではそれが有効な場合もありますが、給水管の立管更新については少し事情が異なります。
プロの施工業者であれば、現場を見ればすぐにわかるからです。
経験のある施工業者が実際にパイプシャフトを確認すれば、どの工法が適切か、仮設配管が必要かどうかは、その場で判断できることがほとんどです。
わざわざコンサルタントに調査費用を払って図面を起こしてもらわなくても済みます。
また、業界の実態として、管理会社と設計コンサルタント、施工業者の関係性のなかで、あらかじめ施工業者が決まっているケースが少なくありません。
表向きは複数の業者から相見積もりを取っているように見えても、実態が伴っていないことがあります。
配管保全センターのAI概算見積りなら、マンションの情報を入力するだけで、共用部給水設備の工事の概算費用がわかります。
