2026年4月7日
この記事のカテゴリー : 修繕積立金・専有部の取り扱い

築年数のある程度経過したマンションで、このままでは、この先マンションがスラム化してしまうのは目に見えるので、どうにかしようとしているが、どうしようもないので逃げ出そうかと思っているということです。
今回は、みなさんの知らないところで何が起きているのか。
そして、住民が無関心でいると、最終的にどうなってしまうのかについて、お話しますのでぜひ最後までご覧ください。
この修繕積立金は、各世帯から毎月徴収され、管理組合あたりでは数千万円から数億円にもなります。
住民のチェックが甘くなりがちな資金で、ここに目をつけた業者が、実に巧妙な方法で、その積み上がった資金を抜き取っているケースが珍しくありません。
最初にお断りしておきますが、今回のお話は、あくまで一部の悪質なケースです。
すべての管理会社や施工業者がこうだと言っているわけではありません。
ただ、「こういう構造が存在する」ということを知っておくことが、皆さんが自分たちのマンションを守る第一歩になります。
よくある手口として、3つ挙げてみます。
大規模修繕工事の際に設計コンサルタントや管理会社が裏で手を結んでいるというものです。
相見積もりを取っているように見せかけて、実際には最初から受注する業者が決まっていて、相場より2割、3割ではなく、それ以上のバックマージンが上乗せされているといった手口です。
これは特殊な話ではなく、「業界では広く知られた構造的な問題」であるということです。
本来であれば、棟を超えて理事会同士が情報交換をして、「隣の棟ではこういう見積もりだった」「うちの棟とずいぶん金額が違う」といったチェックが働くはずです。
ところが、管理会社側が意図的に理事会間のコミュニケーションを取らせないようにしているケースがあります。
私が、各棟の理事長さんのメーリングリストを作りましょうと提案しても、管理会社と管理会社に癒着していると思われる住民に激しく反対されたこともあります。
各棟がバラバラで比較対象がなければ、提示された見積もりが高いのか安いのかもわかりません。分断された理事会は、非常にコントロールしやすいわけです。
彼らは専有部の配管からの漏水を把握していながら、積極的に対策を打たずに放置しておく。
いよいよ漏水がひどくなり、どうしようもなくなると、管理会社から紹介された施工会社が法外な見積もりを提示して、保険が全額下りない場合は、差額を加害者となった区分所有者に背負わせて、そのマンションを売却しないとどうしようもないような状態に持っていく。
そうこうしているうちに、「あのマンションは漏水がひどい」という評判が広まり、物件の資産価値がどんどん下がり、建替えにもっていくというものです。
住民は生活環境の悪化に耐えきれなくなり、叩き売ってでも脱出していき、資産価値が下がった住戸を安値で買い集める。
そして、十分な数の住戸を確保した段階で、最終的に建替えの議論に持っていく。
これが、住民に気づかれないように、法的にも抵触しないように数年から十数年という時間をじっくりかけて静かに進められるシナリオです。
都心の一等地や駅前の好立地にあるマンションの場合、古い建物を取り壊して新しいマンションを建てれば、立地によっては億を余裕で超える価格で販売できます。
安値で買い集めた住戸の取得費用と比べれば、差額は莫大なものになります。
数年、十数年かけてでも十分にお釣りがくる。だからこそ、それだけの時間と手間をかけてでもやる価値があると考える人たちがいるわけです。
「忙しいから総会には出られない。白紙委任状を出しておけばいいだろう」——こう考える方は非常に多いと思います。
誤解のないように申し上げると、白紙委任状という制度自体が悪いわけではありません。
区分所有法上、認められた仕組みです。
問題は、その意味をよく考えないまま出してしまうことにあります。
白紙委任状は、「私の議決権を、誰かに丸ごと預けます」ということです。
修繕積立金をどう使うか、どの業者に工事を発注するか、管理会社を変えるかどうか——こうした重要な意思決定を、すべて他人に任せるということです。
「面倒だからお任せ」は、結果的に「好きに使ってください」と言っているのと同じことになります。
この問題が特に深刻なのが、外部オーナーが大半を占める投資用マンションです。
外部オーナーの多くは、そのマンションに住んでいませんから、総会に出席することはまずありません。
ほぼ確実に白紙委任状か、そもそも委任状すら出さないかのどちらかです。
忙しい中、マンションのために積極的に活動されている本当に頭の下がる理事の方もいらっしゃいますが、外部オーナーの比率が高いマンションほど、こうした構造的なリスクが高いという傾向にあります。
修繕工事の見積もりに疑問を呈したり、管理会社の対応を激しく批判した理事や住民。こうした至極正当な問題提起をした人に対して、訴訟を起こされることがあります。
もちろん、行き過ぎた発言や事実と異なる中傷であれば、訴えられても仕方のない場合もあります。
ここでお話ししているのは、正当な問題提起に対して、それを封じる目的で使われる訴訟のことです。
よくあるパターンとしては、管理会社が裏で糸を引いて、癒着関係にある理事や特定の住民を使って、根も葉もない嘘をでっちあげて、訴訟を仕掛けるというものです。
しかも、こうした訴訟は一度では終わらないことがあります。
一つ目の裁判が片付く前に、別の件で新たに訴えてくる。同時に複数の訴訟を抱えさせられるケースもあります。
訴えられた側の負担は、弁護士費用だけでなく、対応に膨大な時間を取られてしまいます。
弁護士との打ち合わせ、書面の確認、証拠の整理、裁判所への出頭——これが一件でも大変なのに、複数件を同時に抱えたらどうなるか。
仕事をしている方であれば、仕事が手につかなくなります。
本業に集中できない状態が、何カ月も、場合によっては何年も続くわけです。
ご近所の目がある中で、「あの人、訴えられたらしいよ」と噂される。
マンションの中で顔を合わせるたびに、そういう視線を感じながら暮らし続けなければならない。この精神的な負担は、想像以上に大きいものです。
周りの住民から見れば、「あの人、理事会で意見を言ったら訴えられて、大変なことになっている。
うちも余計なことは言わないでおこう」こう思いますね。本人を潰すだけでなく、「見せしめ」の効果によって、マンション全体が「物言わぬ住民」だらけになっていくということです。
こうして、チェック機能が失われていきます。こういったことが起きているということに気づいてさえいないという住民の方が多いとも言えます。
理事会に、管理会社の対応や工事費用に厳しく目を光らせる理事がいるとします。
管理会社にとっては、非常にやりにくい存在です。
そういった、うるさい理事がいる間は、何も動かない。波風を立てず、おとなしくしている。
そして、その理事が退任した後に、動き出す。大規模修繕の話を持ち出す、工事業者を推薦する。前の理事がいた時には出てこなかった提案が、退任した途端に出てくる。
殆どのマンションでは、理事は1~2年で全員入れ替わりますが、管理会社はずっとそこにいます。
管理会社には、数年単位で待つという選択肢があり住民にはそれがない。このことは管理会社にとって非常に有利なわけです。
繰り返しますが、住民のことを真剣に考えて、誠実に管理業務に取り組んでいる良心的な管理会社は、ちゃんと存在します。
一方で、これらのことは管理会社を選ぶ際に、「管理委託費が安い」という理由だけで決めてしまった場合に起きやすい問題ともいえます。
管理委託費を極端に安く設定している管理会社の中には、大規模修繕の工事受注で利益を取り戻すという方針のところがあります。
安いには安いなりの理由がある。
管理委託費だけを見て「ここが一番お得だ」と飛びつくのではなく、大規模修繕の工事をどういうスタンスで提案してくるか、業者選定に管理組合がどこまで関与できるか、そうした点まで含めて管理会社を選定することが重要です。
漏水が起き始めているマンションでは、一般の方がマンションを購入するための住宅ローンの融資を受けることが非常に難しくなります。
住宅ローンが使えないとなると、現金で購入できる業者や投資家が買い手の中心になり、管理に関心のない所有者が増えていきます。
総会の出席率はさらに下がり、白紙委任状がさらに増える。修繕積立金が適正に使われているかを確認する人もいなくなるという悪循環に陥ります。
そういったマンションでは相続放棄が増え、所在不明世帯が増えていきます。
所在不明のところからは管理費や修繕積立金が徴収できず、管理組合の資金は確実に細っていきます。
最後には、管理会社も、このマンションにはもううま味がなくなったと委託契約を解約され、管理のノウハウも資金も失った住民だけが、取り残される。最終的に行き着くのは「マンションのスラム化」です。
これが、冒頭でお話しした「気づいた住民が逃げ出していく」現象の、その先にある未来です。
気づいた人が出ていった後に何が起きるか。それを知っているからこそ、彼らは早めに動いているとも言えます。
大切なのは、「気づく側」になること。そして、気づいたら逃げるのではなく、「変える側」になることです。
今回の投稿記事をご覧になって、「アクションを起こしたいが、どう動けばいいかわからない」「理事会で問題提起したいが、一人では難しい」そうお感じになった理事会の方は、配管保全センターにお気軽にお問合せください。
