2025年3月26日
この記事のカテゴリー : 配管に関する知識

多くの管理会社は、委託管理の売上だけで採算を取ることが難しく、改修工事で利益を上げる収益構造を取っています。
この場合、見積りに関して管理組合の利益ではなく、管理会社の利益を最優先することになり、管理組合と管理会社は利益相反の関係になってしまうといえます。
また、設計コンサルタントに依頼する場合も、談合の落とし穴に陥りやすいです。
そもそも給排水設備の改修工事では設計コンサルタントは不要だと、かねてから配管保全チャンネルでは話しています。
いつもこのことを申し上げる理由は、そのほうが談合を避けることができて、適切な工事を適切な費用で実施できる可能性が高いからです。
なかには、談合厳禁を各登録業者に誓約させたスマート修繕のように良心的なコンサル会社もありますが、コンサルティング会社で談合をしている可能性がある会社は少なくないといえるでしょう。
また、信じられないと思われるかもしれませんが、管理会社の規模に関わらず、理事長と管理会社との癒着もありえるのが実情といえます。
理事長にとっては、とても大きなポケットマネーが入ることになりますので、特定の業者が受注するように、管理会社と一緒になって、強引かつ巧妙に誘導することになります。
「安いところは信用できない」「この価格では品質が保証できない」と、最も効率的な提案をした施工業者を排除することがあります。
例えば、A社が8,000万円、B社が7,500万円、C社が4,000万円の見積もりを出した場合、C社の見積もりが妥当だとしても、管理会社や設計コンサルタントは「C社は安すぎるので危険です」と言って、その他のより高い見積りを出した施工業者を選ぶよう誘導します。
工事に関して何の知識もない理事の方々は、管理会社や設計コンサルタントからそういわれると、「ああ、そういうものなんだな」と疑う余地なく信じてしまいますよね。
確かに安かろう悪かろうの施工業者もありますが、管理会社や設計コンサルタント任せにしていると、どれだけ公平な手続きで施工業者を募集したとしても意味がないでしょう。
なぜなら管理会社や設計コンサルタントにとって、最終的に自分たちのマージンが乗っかった施工業者に誘導することは難しくないからです。
管理会社や設計コンサルタントに任せておけば、きちんとした施工業者から選んでくれると信じている住民の方は多いのですが、これが談合の温床となっています。
表面上は複数社から見積もりを取っているように見えますが、応札条件を不必要に厳しくして、設計コンサルタントの「顔なじみ」の施工業者しか入札に参加できないようにすることで、あらかじめ受注できる施工業者が決まっていることがあります。
談合が行われると、本来の適正価格ではなく、割高な契約が成立してしまうリスクが高くなります。
例えば、公募をするから大丈夫かというとそうでもありません。ほとんど読まれていない業界紙や、設計会社のウェブサイトの片隅などでひっそりと公募が行われることがあります。
これでは一般の施工業者はほぼ気づくことができず、結果的に「いつもの業者」だけが応募してくることになります。
見つけることが難しいホームページの片隅で公募情報を掲載していたとしても、マンションの総会で、住民から「公募は行っていますか?」と聞かれれば「はい、行っています」と言えてしまいますからね。
表面上は誰でも入札できるようにしていますが、管理会社や設計コンサルタントが裏で圧力をかけて辞退させるというものです。
こんなこと、本当にするの? と思われるかもしれませんが、大手の管理会社や設計コンサルタントの場合、改修工事の案件を多数持っており、彼らに依存している施工業者の場合は、次から仕事をくれなくなるという恐れが常にあります。
せっかく、住民ががんばって、声をかけても、入札間近になって、「実は都合が悪くなり見積り提示が難しくなりました」と言ってくる施工業者は、少なくありません。
見積書をどこに提出するかですが、管理会社や設計コンサルタントに提出する手順にした場合、見積もり額の情報を操作しやすくなります。
住民が独自に見つけてきた業者も、管理会社や設計コンサルタントに見積書を提出することになり、その時点で、その業者が参加していることを察知できます。
管理組合のポストに投函することになっていれば、入札のときまで、どの施工業者が応札したのかわからない場合もありますが、そういう点でも、提出先を管理会社や設計コンサルタントにしておくことは彼らにとって都合がよくなります。
まあ、管理会社や設計コンサルタントではなく、提出先を管理組合のポストにしたとしても、施工業者とつながっていれば、見積もり額を操作することは難しくはないとも言えますが。
理事長と管理会社が癒着しているような場合は、理事長宛にしたとしても操作される可能性はあります。そういった場合は、複数の理事を宛先にするのも有効な手段となりえます。
まず、「大手じゃないと不安」という考え方は今や時代遅れです。現在は瑕疵(かし)保険が充実しており、一定規模以上の施工業者であれば、万が一の際の保証も十分整備されています。
むしろ注意すべきは管理会社自体のリスクです。管理会社に依頼すれば、未来永劫、何かあったらフォローしてくれると思っている方は多いですが、そんなことはありません。大手だから安心という時代は終わりました。
近年は、修繕積立金不足に陥った管理組合など、管理会社から管理委託を辞退される逆リプレースが増加しています。
また、管理会社も人手不足が深刻で、管理組合との窓口業務を担うフロント要員が確保できず、一人のフロントが20組合も30組合も担当せざるをえない管理会社も珍しくなくなってきています。
そのため長時間労働が原因でさらにフロントが辞めていくという悪循環に陥り、経営が成り立たなくなって、破綻寸前の管理会社も増えてきています。
今はインターネットも発達しています。優良な施工業者は、管理会社からホームページを公開することを禁止させられていたりする場合もあるので、そこはまた一つ問題ではありますが、管理会社に依頼しなくても、適正な施工業者を見つけることが容易になってきたといえます。
まず、一つ目は、「透明性の確保」です。見積もりの提出先は、必ず理事会とし、開封は複数の理事立ち会いのもとで行いましょう。
二つ目は、「公募の工夫」です。公募する場合は、広く認知されている媒体で公募し、より多くの業者から見積もりを取るようにしましょう。
また、理事会独自に住民にも知っている業者はないか声を掛けるなど、広く応募を掛けましょう。
三つ目は、「組合自身による総合評価」です。価格だけでなく、瑕疵保険の有無、過去の実績、施工業者の信頼性など、多角的に業者を評価しましょう。
最終選定では管理会社や設計コンサルタントのいいなりになるのでなく、自分たちで判断することがとても大切です。
いかがでしたでしょうか。見積もり選定に仕掛けられたこれらの罠に気をつけることで、無駄な出費を防ぎ、適正な価格で質の高い工事を実現できると考えております。
配管保全センターでも、配管の保全方針の作成や工事に至るまでの業者選定、ご希望によっては工事完了までの施行保証といったサービスも行っております。
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