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どこから漏水してる?≪埋設配管> ガスを使って漏水箇所を特定⁈

2022年9月30日
この記事のカテゴリー : 給水・給湯管の保全

ほとんどのマンションでは、屋外の給水管は道路下の水道局の本管からマンションの建物まで、コンクリートやアスファルトの下に埋められています。これを埋設配管といいます。

埋設配管で漏水が起きてしまうと、漏水箇所を特定するのは至難の業といえます。

イラスト①に、例として実際のマンションで、埋設された給水管の距離をイメージで示しました。

親メーターは、公道からマンション敷地内のすぐのところにあるのですが、青線で示したように受水槽までの給水管の長さは140mで、ほとんどのエリアでアスファルトの下に埋設されています。

また、赤線で示した受水槽から建物までの給水管も100m近くあり、これもほとんどアスファルトの下に埋設されています。

イラスト①

このような屋外の給水管のどこかで漏水があった場合、漏水箇所を調べるためにイラスト②の左側にあるように、音聴棒で調査する方法があります。細長い棒を地中の配管につけて、音で漏水しているかどうかを聞き分けます。

あるいは、イラスト②の右側の漏水探知機を用いて、集音マイクで音を聞き分けて調べる方法もあります。

イラスト②

どちらの方法であっても、漏水箇所を探し出すのに何日もかけたが、漏水箇所を特定できなかったという場合もありえます。そこで、今回の投稿記事では、無害のガスを用いたとても簡便な漏水箇所の特定方法をご紹介します。調査方法の概略と、費用相場についてお話しますので、是非、最後までご覧ください。

動画

 

ガスを用いた漏水箇所の特定方法の概要

それでは、ガスを用いた漏水箇所の特定方法についてお話します。この方法は、一般的には、「トレーサーガス式漏水調査」といった呼び方をされています。

イラスト③

イラスト③に調査する際のイメージを示しました。

これは、専有部内での調査ですが、屋外もほぼ同じやり方となります。

まずトレーサーガス生成装置で、非可燃性処理を施した水素やヘリウム含有のガスを生成します。これは人体には無害なガスです。

生成装置を蛇口や配管につないで、生成したガスを配管内に充満させます。

ガスを充満させたあとは、検知器を使って漏水箇所を探していきます。

配管に孔が空いているとそこからガスが漏れてきて、検知音が鳴りだします。ガスの濃度によってピッピッピと音が鳴る間隔が速くなり、検知器に表示されるガス濃度の数値も上がることで、漏水箇所のあたりをつけていきます。

その後、あたりをつけた場所のコンクリや土をはつって配管を露出させて、水が漏れていることが確認できてはじめて漏水箇所が特定できることになります。

屋外では、コンクリートやアスファルトの下に給水管が埋設されていることが多く、その場合、ガスは漏水している箇所からまっすぐ上の地上付近ではなく、コンクリートやアスファルトの亀裂から漏れてくる傾向にあります。

そのため、給水管が埋まっているであろう箇所の、コンクリートやアスファルトに小さな孔を空けて、漏水箇所を探していきます。

この方法で、毎分1リットル未満の微量の漏水でも探し出せる場合もあります。

トレーサーガス式漏水調査の費用の目安

トレーサーガス式の漏水調査費用としては、調査する範囲等により大きく変わりますが、おおよそ1日の調査で15万~30万円程度が目安です。マンションの場合は請け負う業者によって異なりますので、あくまで目安となります。ご参考までに戸建ての場合は、3~5万円程度が目安となります。

業者によっては、見つけられなければ無料といった料金体系のところもあります。ただし、そもそも漏水していないとわかったり、調査範囲が広い場合は、無料ではなく有料になる場合もあります。

詳しくは、各地域の調査業者に直接お問い合わせください。

調査実施の是非について

マンションでの漏水の発見のされ方としては、
・水道メーターの検針員からの指摘
・配管が埋められている土が陥没してくる
・晴れの日でも、常に地面が濡れている
といったような現象から見つかることが多いです。

埋設管の漏水は、鉄管の錆びや、地盤沈下、地震といったことが原因で起こります。

今回のように、漏水調査で漏水箇所を特定できて、その箇所の配管を新しく取り替えたとしても、また、別の箇所で漏水が発生する可能性は案外高いと言えるかもしれません。

現在お住まいのマンションにあと、何年住み続けるのか? 修繕積立金の余力度合いはどうか?といったことにもよりますが、埋設部で漏水があった場合は、漏水箇所の特定にお金をかけずに、埋設部の配管を全て取り替えてしまうという考え方もあります。場合によっては、漏水調査はせずに、全ての埋設管を取替えるほうが、安くつくこともあるでしょう。

また、イラスト④のように、埋設管が建物の下に、それなりの長さで配管されている場合、漏水調査をした結果、屋外では漏水箇所が見つからず、建物の下に埋まっている配管から漏水していると推測される結果になる場合があります。建物の下の配管を取替えるのはかなりの高額になるため、その場合は、漏水調査は行わず、思い切って、親メーターから全て新しいルートで新設してしまうほうが手間も省かれかつ安かったという場合もあります。

イラスト④

今お住まいのマンションに、安心して長く住み続けるためにも、漏水調査にお金をかけて漏水箇所の配管だけ取替える対症療法にするのか? それとも、この際、全ての埋設管を取替えてしまうのか?といったことについて、組合内できちんと話し合いをしておくことをお勧めします。

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