2022年9月2日
この記事のカテゴリー : 排水管の保全

「キッチンに油を捨ててはいけない!」
というのは常識ともいえ、みなさん、「そんなことは知ってるし、なるべく油は捨てないようにしているよ」と言われるでしょう。
ところが実際は、知らず知らずにかなりの量の油が、キッチンのシンクに捨てられています。それが原因で詰まりが起きて水はけが悪くなったり、逆流してくるといったトラブルが起きています。
このような詰まりの問題は、先ほどの写真のように排水管が錆びない材質の樹脂管系のマンションでも起こりえます。
今回の投稿記事では、「油はそのままキッチンに捨てない」と気を付けていても、キッチンの先の排水管の油詰まりが起きる意外な原因と対策についてお話します。
マンションの管理組合の方は、日頃から住民の方々に注意喚起することで、排水管の取替え費用の削減につながりますので、ぜひ最後までご覧ください。
以下のレイアウトのように、キッチンが一番奥にあった場合でも、赤丸で示した箇所に油が固まって詰まりが起きるようなことも十分ありえます。そうなると、やはり、洗濯機からの排水が逆流してくるような事態にもなりえます。
下のイラストで示したように、マンションでは、全世帯から捨てられた油は最終的には同じ排水桝に集まります。無意識にシンクに油を捨てている世帯があると、どうしても排水桝に油が蓄積されていきます。
「うちは、油を捨てないように徹底しているから大丈夫」と思っていたとしても、水はけが悪くなることはありえるのです。
ほとんどのマンションでは、屋外の排水桝も高圧洗浄をして、油が溜まらないようにしていると思いますが、屋外の地盤沈下等で、排水桝が壊れたり、屋外の排水管が逆勾配になってしまうことがあります。そうなるとスムーズに排水されずに、油が固まるようになり、1階の世帯で逆流が起きてくることもありえます。築年数がたってくると、このような事態も起こりやすくなりますので、そうなる前に排水管の保全をしておくことは必須といえます。
そこで、配管に溜まった油が途中で固まりにくくするために、簡単な習慣として、夜、寝る前に、給湯器の設定温度を60度に設定して、お湯が熱くなったのを確かめてから、洗い桶や鍋に溜めて、そのお湯(50度~55度程度)を一気にシンクに流すことをお勧めします。
注意点として、60度以上の熱湯を流すことは避けてください。
耐熱性の塩ビ管でない限り、ほとんどの塩ビ管は60度以上の熱湯を捨てると、配管が傷んでしまいます。接続部から漏水したり、場合によっては、逆勾配となり、そこに油が溜まりやすくなり詰まりを起こすことになるからです。
コーヒーやお茶を入れるときに余った熱湯、カップ焼きそばの湯切り湯、パスタを茹でたりレトルト食品を温める際の熱湯をそのままシンクに捨ててしまっているなら、そういったことも避けるよう住民への注意喚起が必要です。
熱湯は、冷ましてから捨てるか、同量の水を流しながらシンクに捨てたり、同量の水を熱湯が入っている容器にいれて水温を下げてから捨てるようにしてください。
まず、なるべく油を捨てないということが最も大切ですが、時折、排水管洗浄剤のパイプクリーナー等で掃除したり、また、適切な頻度で高圧洗浄や低圧ムース洗浄を行うことも大切です。
また、このチャンネルでも何回か取り上げている、流動式セラミックス方式の延命装置であれば、排水管内の油の固着を抑制することが期待できますので、導入を検討されてみることもよろしいかと考えます。
