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国交省の補助金制度を使って給排水管を取替えられるか⁈

2022年4月15日
この記事のカテゴリー : 修繕積立金・専有部の取り扱い

つい先日の4月8日から国交省の補助金制度である「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の令和4年度版が開始されました。

この制度を使って、マンションの共用部や専有部の給水管、排水管を取替えることはできるでしょうか。

まず、補助金をもらうための要件として、
①リフォーム工事前に国土交通省の定める講習を修了した「既存住宅状況調査技術者」が建物の状況を調査するいわゆる「インスペクション」を行うとともに、維持保全計画及びリフォームの履歴を作成すること。
②リフォーム工事後に劣化対策、耐震性、省エネルギー対策の基準を満たすこと。
上の2つ以外にも他の細かな要件を満たす必要があります。

また、この制度の利用にあたっては、この制度を使った修繕を実施することの申請・承認された特定の工事業者に依頼する必要があり、その工事業者を通して補助金をもらう仕組みになっています。

今回の投稿記事では、仮にこの制度を使った場合に、給排水管の取替工事にいくらくらい補助金を得られるのか、給排水管の取替えだけでこの制度を利用すべきかについてお話しますので、ぜひ、最後までご覧ください。

動画

 

いくらくらい補助金を得られるのか

まず、給排水管の取替工事でいくらくらい補助金を得られるのかについてです。

下の表は、長期優良住宅化リフォーム推進事業のホームページから関連情報をそのまま抜粋したものです。

工事内容補助工事
単価
単位備考
排水管更新工事 全設備機器から第一桝まで

旧配管の撤去共(埋設部分は存置)
129,000円円/式排水管は全ての機器に接続する管を更新する場合に適用し、部分的な交換には適用しない
給水・給湯管更新工事 メーターから各機器まで

旧配管の撤去共(埋設部分は存置可)
120,000円円/式給水管、給湯管の両方を更新する場合(全ての機器に接続する管を更新する 場合とし、部分的な交換は除く)に限り、数量を1とし、いずれかの更新の み実施する場合には、数量を 0.6 とするそれぞれ重複計上不可
給水・給湯管更新工事 さや管ヘッダー方式

旧配管の撤去共(埋設部分は存置可) ヘッダ ー共
219,000円円/式給水管、給湯管の両方を更新する場合(全ての機器に接続する管を更新する 場合とし、部分的な交換は除く)に限り、数量を1とし、いずれかの更新の み実施する場合には、数量を 0.6 とする
床下点検口の設置(床下収納庫(点検口兼用)設置を含む)24,600円円/箇所人が入って点検することを想定したもの(450□程度以上のもの)に適用する同一の点検口について、 劣化対策の点検口と重複 計上不可
検査機器用の開口の設置2,500円円/箇所ポールカメラ、ファイバースコープ等の使用を想定した開口に適用する
配管点検口の設置 壁16,200円円/箇所240□程度以上のものに適用する
表に補助工事単価という欄がありますが、この金額の3分の1程度の金額が各世帯あたりの補助金額となります。

排水管の取替えの場合は、世帯あたり約4万円ちょっと、給水・給湯管の取替えで約4万円。さや管ヘッダー方式に変更する場合は7万円ちょっとという金額ですね。

クリアしなくてはいけない条件が、さまざまあり、場合によっては満額出ない場合もあります。

給排水管の取替えだけでこの制度を利用すべきか

それでは、給排水管の取替えだけでこの制度を利用すべきかということについてお話します。

さきほど、見たように世帯あたりで得られる補助金額は4万~7万円程度ということでした。

例えば、専有部の排水管を全て取り換える場合、複数業者から見積もりを取った場合、内装復旧費込みで、たとえば、
A社が40万円
B社が55万円
C社が70万円
と、かなり見積もり額に差が出ることは珍しくありません。

仮に、この補助金制度を利用できる業者がB社、C社だった場合、補助金制度を使わずにA社に依頼するほうが結果的には安価になることが分かりますね。

この制度を利用できるのは予め国交省に申請した特定の業者のみですので、その業者のみから見積もりを取り、他と比べることがないと、逆に高い修繕費用を支払うことになりかねません。

また、業者登録できる期間は令和4年度は、令和4年の11月30日までですが、特に厳しい条件はありませんので、基本的に、どの業者でも登録は可能です。

ただ、制度を利用するにあたって、かなり多くの書類を作成する必要があり、手続きも各種あるので、どの業者も制度を利用しない場合の見積もり額よりも、高めの見積もり額になると思われます。

この制度は、劣化対策、耐震性、省エネルギー対策を実施しようとしている管理組合さんが活用するものであり、ついでに配管の取替えもこの制度を使えるか試してみるというような使い方になるのではないでしょうか。

配管の取替えのみの実施であれば、公明正大な公募方式で、複数の業者から見積もりを取るほうが、効率的ではないかと考えます。

なお、この制度を利用したいと思われる方は、リフォーム推進事業の推進窓口に直接お問合せください。推進窓口のリンクはこちらのホームページの右下部分に問い合わせ先が記載されています。

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