2021年9月5日
この記事のカテゴリー : 修繕積立金・専有部の取り扱い

実際には、竣工図とは異なる仕様になっている場合も多く、現場を見てみないと、施工業者は正確な見積もりを出すことは出来ないのです。こういった場合、施工業者としては、予測できないことが起きたとしても、損をしないように、余裕を持った見積もり額を提示せざるを得なくなります。
配管の取替え工事に必要な確認項目の例としては、次のようなものがあります。 ・給湯器はパイプシャフト内か、あるいはベランダか ・配管を通す際に邪魔になる梁をさけ、どのルートで配管を通せばいいか ・配管を通すために天井に点検口をあけるのか、あるいは床をはがすのか ・ユニットバスの裏側に新しい配管を通せるスペースが十分にあるのか ・壁や床の材質はなにか 等 見知らぬ人が住居に入るのを好まない方もいらっしゃいますが、きちんと現地調査することで見積もり額を抑えられるので、なるべく多くの住民の方に、協力してもらうように努力する必要があります。
また、見積もりを各施工業者に出してもらう際に、仕様が明確でないと、正確な比較ができません。見積もりを行う際には各業者には仕様をそろえて提示して、「アップル to アップル」で同じ内容で価格の比較ができるようにしましょう。
それから、入札に応募できる業者は、資本金が〇億円以上ないとだめといった条件を設定しているケースもよくみかけます。業者の倒産等を警戒してといった理由からといったこともありますが、現在は、瑕疵保険が充実しており、資本金がそれほどない施工業者でも十分、保証能力は維持できます。
1.依頼する業者は、息がかかった特定の業者ばかりではないか
2.見積もりは詳細レベルまで仕様を明確にした上で、依頼しているか
について、ご留意ください。
対応策としては、
・工事業者は1社に拘らず、品質が確かな複数社と契約する。
・工事期間は半年ではなく、例えば3年間といった余裕を持った期間を設ける。
ということになります。
例えば、さきほどの600人日の工事量についても、4社で3年間で行うことにすると、1社あたり、1年で50人日になります。このくらいの量であれば、職人を他の現場にも割り振ることができるので、料金も高めになることはありません。
ただし、排水管の専有部と立管の接続部を更新する場合は、工事をする階よりも上の階は、水の利用制限をする必要があるため、立管の系統ごとに、なるべく一気に更新するほうが、水の利用制限を行う階数が少なく済みます。
半年で1社で終わらせることが可能な業者もありますが、下請けや孫請けを使って、人件費が高くなる可能性があるので、少なくとも複数社に見積もりを提示してもらうことをお勧めします。
一方で、自社の職人を多く抱え、年間に50人日以上割いても無理のないところであれば、その会社には、より多くの部屋を割り振ったり、3年でなく期間を短くしても問題はない場合もあるでしょう。
また、予定していた工事日が突然、住民サイドの都合でキャンセルになると職人を遊ばせてしまうことになります。 そういったリスクを回避するために、業者サイドでは、高めの料金設定にせざるを得なくなります。契約時に、キャンセルした場合は、追加料金を支払うようにしておき、住民サイドが約束をきちんと守る取り決めにしておけば、高めに料金設定されることを避けられます。
3つのコツ、簡単なようで、実施するには、理事や修繕委員の決断と実行、それから住民の協力が必要になってきます。 ただ、この3つのコツをきちんと取り入れておけば、トータルコストを思った以上に抑えられますので、ご参考にしてください。
