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専有部の給水・給湯管 組合主導で一斉更新する際の7つの留意点
2021年8月20日
この記事のカテゴリー :
修繕積立金・専有部の取り扱い
専有部の配管は、本来、区分所有者が各自で費用負担をして保全するものです。修繕積立金を使って組合主導で工事を実施するには、それなりの手順が必要です。 最近では、「専有部からの漏水が多発しているので、どうにか管理組合主導で一斉更新できないか?」と考える組合さんが多くなっています。 今回の投稿記事では、管理組合主導で、専有部の特に給水・給湯管の一斉更新を可能にするための留意点についてお話します。 ここでご紹介するのはあくまでサンプルですが、組合としての考えをまとめていく上で、今回の投稿記事は参考になると思いますので、是非、最後までご覧ください。
動画
管理組合主導で更新するための留意点
こちらが、管理組合主導で専有部の配管を更新するにあたっての主な留意点です。全部で7つ挙げています。 上から順番に、
①管理規約の変更、
②部屋のタイプ毎に異なる更新費用の取り扱い、
③内装の復旧費用の取り扱い、
④既に更新した区分所有者への費用の清算方法、
⑤事前に更新済みであることの確認方法、
⑥組合指定でない業者が更新を行う際の取り扱い、
⑦一斉に更新する場合の修繕積立金での負担と区分所有者の自己負担の割合 です。
① 管理規約の変更
まず、最初は管理規約の変更です。
一斉更新にあたり管理規約は特に変更せずに、総会で可決するだけでいいという考え方もありますが、念のため管理規約を変更しておくほうが無難といえます。 一斉更新では、本来は共用部の修繕にあてる修繕積立金を専有部の修繕にあてる場合や、強硬に反対していた区分所有者の部屋にも業者が立ち入って工事をする必要もあり、それが訴訟につながるリスクもあるからです。 また、のちのちのクレーム対応を考慮すると、過半数の賛同を得る普通決議ではなく、4分の3の賛同を得る必要のある特別決議で可決しておくことが望ましいでしょう。
管理規約の変更点については、平成29年2月の国交省が出した「マンション専有部分等の配管類更新による再生事例調査報告書」に、参考として以下の4つのポイントが記載されています。 (1)専有部分の配管類を管理組合が一斉に更新できることを明記 (2)工事費の捻出に際して、修繕積立金の取り崩しを共用部分だけでなく、総会の決議を経て専有部分も可能とする (3)「正当な理由なく住戸への立ち入り、工事を拒否できないこと」 (4)逆に正当な理由とし て「すでに個別に更新した場合の対応」を明示 改定例については、以前作成した投稿記事のリンクを貼っておきます。
管理規約の改定例
② 部屋のタイプ毎に異なる更新費用の取り扱い
次に、部屋のタイプ毎に異なる更新費用をどのように負担するかについての考え方です。
実際に見積もり依頼を出すと、 Aタイプのワンルームなら30万円 Bタイプの3LDKなら40万 Cタイプの3LDKなら50万 Dタイプの3LDKは60万 というように異なる見積もり額になる場合が多いです。 毎月の修繕積立金は、基本的には専有部の床面積に応じて各区分所有者に拠出してます。 表①の例だと、AタイプのワンルームとDタイプの3LDKでは修繕積立金の負担割合が、3倍近く差があるのに対して、今回の更新費用の見積もり額は2倍です。
表①
不公平にならないように、ワンルームの区分所有者は若干一時金を拠出するといった考え方もありますが、厳密に考えるときりがないので、多くの場合、管理組合が一括して全額支払い、各世帯からの一時金は徴収しない方法をとっています。 総会までに、住民間で十分に話し合い、合意を得られやすいように事前にまとめておくことが大切です。
③ 内装の復旧費用の取り扱い
次に内装の復旧費用の取り扱いについてです。 配管を更新するために床や壁を剥がすのなら、「壁紙は好みのものに変えたい」「キッチンや洗面台もこの際、取替えたい」と、各世帯で要望が出てきます。 それぞれの要望を聞くわけにもいかないので、管理組合としては内装復旧に関しての標準的な仕様を決め、それ以上のことをしたい場合は、各自負担すると取り決めておく必要があります。
④ 既に更新した区分所有者への費用の清算方法
次に、配管が更新済みの区分所有者への費用の清算方法についてです。 修繕積立金を取り崩して組合が一斉に配管を更新すると決めた場合、既にリフォームやリノベーションの際に配管についても自腹で更新した区分所有者からは、クレームが出てくるでしょう。 「自分たちは、自腹で配管を取替えたのに、これから一斉に更新する人たちは修繕積立金を取り崩すなんて、不公平じゃないか」というクレームですね。 自腹で取り換えた人たちにとっては、当然ともいえる不満ですから、このクレームに対して、管理組合は既に更新した人たちに返金する等の対処をして、不公平感をなくす必要があります。
ただ、完璧に公平にするというのは難易度が高すぎて、現実的ではないので、どこかの線で住民の方々に妥協していただく必要があります。 例えば、ひとつの考え方としては、既に更新した人たちに対しては、配管の取替え費用相当額を20万円として、一律で20万円を返金するという考え方もあります。 返金額をいくらにするかについても、住民間で十分話し合うことが必要ですね。
表②
また、返金制度を利用して、一斉更新を行う前に、なるべく各自でリフォームやリノベーションを行ってもらい、一斉更新する世帯数を減らして、管理組合の負担額を減らすという考え方もあります。 この表の例でいくと、事前に更新を実施する世帯数が20世帯の場合、一斉更新と合わせた組合負担額の合計は3600万です。 事前に更新を実施する世帯数が40世帯の場合は、組合負担額は3200万円で負担額が少なくなっていますね。 返金額を安く設定しすぎてしまうと、事前に更新しようと思う世帯数は減ってしまいますので、住民のみなさんが満足するラインを見極めるためにも、住民間で十分話し合う必要があります。
⑤ 事前に更新済みであることの確認方法
次に一斉更新の前に、配管を既に交換済みであった場合の確認方法です。 リフォームやリノベーションを行っても、配管を更新していないケースが意外と多く、また、中古で購入した場合や、昔、親の代にリフォームしたため配管を更新したかどうかがわからない場合もあると思われます。 配管を更新していないにもかかわらず、返金をしてしまうことを避けるために、組合が定めた仕様と同等もしくはそれ以上の内容で、配管が更新されているかどうかを確認する必要があります。
更新工事を行った見積書や請求書を提示してもらう方法もありますが、見積書や請求書からだけでは、すべての配管が更新されているか判別しがたい場合もあります。 そこで、一斉更新の工事を実施する際に、事前に更新済みとなっている世帯のところに、工事業者立ち合いのもと、パイプシャフトや点検口を覗いて業者が撮影した写真を提出してもらうというのもひとつの手です。 また、やり残しをなるべく防ぐために、事前更新済みの世帯が、更新したというのは勘違いで、更新しておらずに、漏水事故を起こしてしまった場合、組合の保険を使うと保険の値上げにもなるので、所定のペナルティを支払ってもらうといった取り決めも効果的な場合もあります。
⑥ 組合指定でない業者が更新を行う際の取り扱い
次に組合指定でない業者が更新を行う際の取り扱いです。
大規模マンションの場合は、一斉更新をするにしても数カ月かかります。世帯によっては、以前からリフォームを予定しており、組合指定でない業者にそのリフォームをやってもらうことが決まっていたりします。 その際には、組合が取り決めた仕様と同等もしくはそれ以上の内容で、区分所有者には配管を更新してもらう必要があります。 工事後に仕様を満たしているかどうかを検証し、問題なければ所定の金額をその区分所有者に返金するという取り決めもしておく必要があります。
⑦ 一斉に更新する場合の修繕積立金での負担と区分所有者の自己負担の割合
最後に、一斉に更新する場合の修繕積立金での負担と区分所有者の自己負担の割合についてです。
全額を修繕積立金から取り崩すのか。 一部だけは区分所有者に拠出してもらうのか。 それとも、修繕積立金は取り崩さず、各区分所有者に一時金として更新費用相当額を全額拠出してもらうのか。 これも不公平感が出て来やすい内容ですので、住民間での十分な話し合いが必要です。
以上が7つの主な手続きです。 総会の議案書には、各部屋ごとの仕様と詳細な見積もり額とともに、上記7つの取り決めについても明記しておくことをお勧めします。
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