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新区分所有法 施行! 専有部配管の一斉更新が簡単になるのか!? 管理組合が取り組むべき活動とは!!

2026年3月13日
この記事のカテゴリー : 修繕積立金・専有部の取り扱い

来月4月に、新しい区分所有法の施行が目前に迫っています。

この改正によって、専有部の配管、特に、長年の悩みの種であった給湯管の一斉交換が、管理組合主導で簡単にできるようになると期待されている理事の方も多いのではないでしょうか。

漏水が繰り返されているのに、「自分の部屋の配管だから管理組合には関係なく自分が必要と思ったら取り替える」と言い張る住民の反対で、理事会の心労は大変なものですね。

新しい法律でその壁が崩れるなら、と期待するのは当然のことです。

ただ、新法によって、管理組合が専有部の配管修繕を強制的にできるようになった、もう住民が拒否しても関係ない——そこまで万能になったかというと、残念ながらそうではありません。

配管の取替えを「求めることができる」ようになったことは確かです。

ただ、仮に強制しようとすれば、最終的には裁判で争うことになり、時間も費用もかかり、その間、管理組合と反対している住民との関係は険悪になってしまいます。

理想は、強制ではなく、全員に納得してもらうことです。

「このマンションに住む全員にとってメリットがある」と理解してもらった上で一斉更新を進める。それが最もスムーズで、後腐れのない形です。

今回の投稿記事では、新法で実際に何が変わるのかという現実をお伝えした上で、どうすれば住民全員の合意を得て一斉更新を実現できるか、管理組合が今からできる具体的な取り組みをお話ししますので、ぜひ最後までご覧ください。

新区分所有法で何が変わるのか

まず、今回の改正で何が変わるのかをわかりやすくお伝えします。

改正前の区分所有法でも、「自分の部屋や共用部分を守るために必要なら、他の住民の部屋に立ち入って使わせてもらうことを頼める」という規定はありました。

ただ、「あなたの部屋の配管を修繕してください」と直接求めることができる根拠は、法律上、必ずしも明確ではありませんでした。

今回の改正では、「他の住民の部屋の配管などを修繕するよう求めることができる」ということが、明記されます。

ただ、相手が応じなければ、最終的には裁判で争うことになります。

新法は追い風ではあります。

でもいつでも強制できるという魔法の杖ではない。まずこの現実をご理解いただいた上で、話を進めていきます。

どんなケースで強制力が強くなるか——私見として

施行直後で判例がないので、正確なことをお伝えするのは難しいですが、私のこれまでの経験から考えると、「こういう状況なら強く求めやすい」「こういう状況では難しい」という目安はあると思っています。

あくまで藤田の私見として聞いてください。

この表は、強制力の強いと思う順に並べており、強制力が強く働くのは、すでに漏水被害が出ているケースです。

今後を見据えて予防保全しておきたいというマンションは、ほとんどが△以下に当てはまるのではないでしょうか。

でも、強制できないから、絶望的と捉える必要はないと考えます。

そもそも裁判にまでなってしまうというのは好ましくないですし、「法律があるから従え」ではなく、「このマンションに住む全員にとってメリットがある」と理解してもらった上で一斉更新を進める。

それが最もスムーズで、後腐れのない形です。

だからこそ、「強制できるかどうか」という発想より、「どうすれば全員に納得してもらえるか」という発想で、一斉更新への準備を積み上げることが、実は最も大事な話になってきます。

一斉更新を実現するための5つの取り組み

では、強制に頼らずに一斉更新への合意を得るために、管理組合が今からできることをお話しします。5つの取り組みです。

取り組み① 漏水の記録をきちんと残す

すぐに取り組むべきことは、漏水の記録をきちんと残すことです。

管理会社の記録には「漏水あり・対応済み」とだけ書かれているケースが非常に多いです。

これでは、一斉更新が必要なんだという根拠にも、総会での説明材料にも、全くなりません。大事なのは、原因を正確に切り分けて記録することです。

給湯管のピンホールによる漏水なのか、給湯器の接続部なのか、住民の人的ミスなのか、給水管なのか、排水管なのか。この切り分けができていない記録は、配管の劣化を示す証拠にはなりません。

また、記録を残しておかないと、うっかり事故ばかりが起きていて、経年劣化によるトラブルは何も起きていないのに、「共用部の配管からの漏水が多発しているので一斉更新が必要です」と緊急性がないにも関わらず、あまりよくない管理会社から、提案されても、状況を把握できていないので、言われるがままに一斉更新するといったことも起きてしまいます。記録をしておけば、こういったことも防ぐことができます。

ここで少し、給湯管の話を掘り下げさせてください。

マンションの漏水事故で最も多いのは、共用部ではなく専有部の給湯管です。

給湯管に使われている銅管は、腐食によるもの等、他にもいろいろ漏水の原因はありますが、下の二つの原因も多いと言えます。

一つは「潰食(かいしょく)」と呼ばれる現象です。お湯の中の気泡が配管の曲がり角にぶつかり、少しずつ削られていきます。

気づいたときにはピンホールができている、という状態です。

もう一つは、継ぎ目のはんだ付けの劣化です。

職人が銅管と銅管をはんだ付けした箇所が劣化して、そこから水が滲み出るというケースです。

これらは、内視鏡や超音波測定である程度の状況をつかめる可能性はあります。

ただ、給湯管はコンクリートの中に埋まっていることが多く、埋まっていなくとも床や壁を壊さないとアクセスできないことがほとんどで、簡単に調べられません。

また、銅管にはビニールの被膜が巻かれていて、被膜をはがさないと外部から状態を把握することはできません。

そして給湯管は口径が細いため、内視鏡が奥まで十分に入っていかないといった問題や、配管内に炭酸カルシウム等のスケールが蓄積しやすくピンホールの状態を把握するのが難しいという問題もあります。

潰食の進み具合もはんだ付けの品質も、施工した職人の腕に大きく左右するため、場所ごとに全く状況が異なることが多いです。

ということで給湯管は「一部を調べることはできても、全体の状態を正確に把握することが構造的に難しい配管」と言えます。

だからこそ、診断結果よりも「漏水の記録の積み重ね」の方が、実際には強い根拠になるといえます。

ただし、漏水の記録はあくまで合意を得るための材料の一つです。

記録だけが頼りとすると、漏水事故がある程度発生しないと、一斉更新できないということになりますしね。

まだ漏水が発生していないマンションでも、この後お話しする②〜④の取り組みを進めることで、合意への道は十分に開けると考えます。

取り組み② 「動かないことの損失」を数字で見せる

次に、一斉更新に反対している住民をどう動かすか、という話です。

「みなさんのためです」「マンション全体のためです」という呼びかけでは、なかなか動いてもらえません。

人はどうしても、自分の損得で判断するものです。

そこで有効なのが、「動かないことでいくら損をするか」を、数字で見せることです。

漏水が繰り返されているマンションは、売却額が下がるのではありません。

そもそも売れなくなります。漏水の多発しているマンションをわざわざ買って住みたいという人は、あまりいませんよね。

不動産屋さんも、「あのマンションは漏水が多いからやめておいた方がいい」と購入検討者にアドバイスし始めるでしょうし、購入検討者自身が、漏水に敏感になっていて、重要事項説明書に載っていなくても、総会の議事録や理事会の議事録を見たら漏水が多そうかどうかの見分けが付けられます。

ということで、仮に売れたとしても、大幅な値引きを求められ、損失は数千万円規模になることも珍しくありません。

一方で、専有部の給湯管を全部屋で交換する費用は、専有部内の構造や内装復旧の仕様で大きく変わりますが1部屋あたり30万~90万円程度です。

「数十万の投資で、数千万円の損失を防げる」のです。

「急に老人ホームに行くことになったけど、売るに売れない」といったことも防げる可能性が高くなります。

この視点を提示することが、「自分には関係ない」と思っていた住民を動かす説得材料になります。

取り組み③ 保険が使えなくなるリスクを「全員の問題」として伝える

取り組み②では、売るときの資産価値の問題をお話ししました。次は、住み続ける場合のリスクです。

実は、漏水が一定の件数を超えると、管理組合がマンション全体の火災保険に入れなくなる、または更新を断られるという事態が実際に起きています。

保険に入れないマンションは、さらに資産価値が下がります。売るときの評価も一段と低くなる。これは②と連動した、ダブルのリスクです。

売るときも、住み続けるときも、一斉更新に同意しない人がいることで全員が損をする構図になっています。

これを数字と一緒に総会で全員に共有することが、合意を得るための大きな一歩になります。

取り組み④ 長期修繕計画に組み込む

一斉更新を総会で承認してもらうには、お金の裏付けと仕組みの両方が必要です。

まず、長期修繕計画の問題です。

多くのマンションで、専有部の配管交換費用は長期修繕計画に入っていません。

計画に載っていなければ、費用の根拠もなく、積立金の手当てもできません。

どこからこの費用を捻出するのか、共用部の配管、他の大規模修繕、耐震補強等、改修の優先順位を整理することが重要となります。

取り組み⑤ 管理規約の整備——できれば、より確実に

最後は管理規約の整備です。

国交省のマンション標準管理規約では、専有部の配管を修繕積立金から拠出して工事するためには、あらかじめ規約に定めておくことが必要とされています。

このため、「一斉更新には規約の整備が必須だ」と言われることが多いです。

ただし、規約の改正には住民の4分の3以上の賛成が必要となり、かなり高いハードルです。

そして、ここが大事なポイントです。規約を変えなくても、一斉更新を円満に実現できているマンションは実際にたくさんあります。

配管保全センターのお客様でも、規約を変えずに全住戸の給湯管交換を問題なく進められたケースは多いです。

①〜④の取り組みを丁寧に積み上げ、住民一人ひとりに「やって当然だ」と納得してもらえれば、規約という形式的な枠組みがなくても合意は十分に得られます。

①~④により規約改正への合意も得やすくなるとも言えますが。

規約の整備に時間とエネルギーをかけることより、①〜④で住民の理解を深めることの方が先決だということです。

クロージング

目指すべきは強制ではなく、全員の合意ということを、よくご理解いただけたのではないでしょうか。

漏水の記録を正確に残す。「更新しないと損」ということを数字で全員に見せる。保険が使えなくなるリスクも併せて共有する。修繕計画に組み込んで総会の議案を設計する。そして規約の整備も目指す。どれか一つでも今日から始めてください。その積み重ねが、一斉更新を実現する力になります。

「うちのマンションは今どの段階にあるのか」「何から手をつければいいのかわからない」「総会で一斉更新を提案したいが、どう準備すればいいか」——そういったお悩みがあれば、ぜひ配管保全センターにお気軽にお問合せください。
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