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手遅れになる前に 「暴走理事長」と「サイレント理事長」からマンションを守る 今日からできる対策

2025年7月1日
この記事のカテゴリー : 修繕積立金・専有部の取り扱い

皆さん、こんにちは。前編では、「暴走理事長」と管理会社が住民の利益よりも自分たちの利益を優先させてしまう問題、そして、「サイレント理事長」のもとで管理会社がやりたい放題してしまう現実についてお話ししました。

「理事はやりたくないな~」「自分が役員の番の時には、平穏に終わってほしいな~」という私たち住民の意識が、いかにして不正の温床を作ってしまうのか、よくおわかりいただけたかと思います。

今回は、それによって、あなたのマンションの管理組合には、実際にどのような被害が出ることになるのか、そして、どうすればその被害から何よりも大切なマンションを守れるのかを皆さんにお伝えしていきます。

「暴走理事長」や管理会社による不正や、他の理事への嫌がらせは、決して“どこかの他人事”じゃありません。

残念ながら、全国のマンションで実際に頻繁に起きていて、多くの理事や住民がその被害に大変苦しんでいます。

さらに言えば、自分たちが深刻な状況に陥ってること、それ自体に気づいていない住民さんの方が圧倒的に多いといってもいいでしょう。

この問題が本当に厄介なのは、被害がすぐに表面化しないで、ジワジワと進行していくことです。

「あれ、おかしいぞ?」って気づいた時には、大切な修繕積立金がもう空っぽになってしまっていて手遅れ、といったケースも少なくないんです。

だからこそ、皆さんがその被害のヤバさを正確に把握して、「自分たちのマンションは自分たちで守るんだ」っていう強い意思を持って、とにかく早く対策を講じることが、何よりも何よりも重要なんですね。

今日お話しする対策は、どんな分譲マンションでも起こり得る深刻な問題への対策です。

ぜひ最後まで、ご覧ください。

■管理組合はどんな被害を受けるの?

まず、「暴走理事長」と「サイレント理事長」、そして、そこに絡む管理会社によって、どんな被害がもたらされるのかを見ていきましょう。

1.理事のなり手、マジでいなくなる。「幽霊理事」が続出!!

嫌がらせや不正が横行する管理組合、あるいは「サイレント理事長」のもとで管理会社が好き勝手にやっている状況では、当然、住民としては「理事なんて絶対にやりたくない」って気持ちが強まっちゃいますね。

健全な運営をしようとするやる気のある理事が排除されてしまうと、「もう理事になるのはゴメンだ」という住民がどんどん増えて、持ち回り制(輪番制)なのに、役員として全く機能していない「幽霊理事」ばかりになってしまうでしょう。

2.修繕積立金がゴッソリ消える。大切な資産が目減りする悲劇

管理組合の理事が機能していない幽霊理事ばかりになると、不正な高額工事が “やりたい放題”という状況になります。

これにより、私たち区分所有者の大切な財産である修繕積立金が、不適切にドンドン使われていってしまいます。

その結果、将来的にマンションの資産価値が大きく下がってしまう恐れがあります。

3.“管理不全マンション”のレッテルを貼られる

管理組合全体の機能不全は、さらに役員不足や不正を招いて、最終的に「管理ができてないマンションだね」という、“管理不全マンション”のレッテルを貼られる可能性につながります。

不動産の世界では、「マンションは管理を買う」という言葉があるくらいで、管理状況はマンションの評価に直結しています。

“管理不全マンション”のレッテルを貼られてしまうと、マンションの資産価値が下がって、区分所有者全員の財産に直接影響するだけでなく、新しい住民が入ってこなくなったり、コミュニティの活気が失われて、マンション全体にとってもマイナスの影響が出てしまうことになります。

4.お金が無くなれば管理業務を解約される危機に

「自分たちの利益さえ確保できればいい」というような悪質な管理会社の場合は、本当に怖ろしい状況にまでいってしまう可能性があります。

相場よりも高い金額でどんどん修繕等の工事をさせておき、修繕積立金がなくなったところで、「もう吸い取る“うま味”がなくなったから、ここのマンションは、もういいか」ということで、逆リプレースといって管理業務を管理会社が一方的に解約してくることさえあるのです。

「管理会社に任せておけば安心だよね~」と、いつまでも自分たちが置かれている危機的な状況に気づかず、お花畑状態で日々過ごしていると、ある日突然、逆リプレースされて管理業務を解約されることになります。

■マンションを守る。今日からできる対策

では、こんな深刻な事態に陥らないために、また、「うちのマンションも、もしかして?」と何らかの異変を感じている方は、どうすればいいんでしょうか?

  ここからは、皆さんのとるべき行動指針をお話ししていきます。

1. 住民同士でとにかく連携。「誰かがやる」はもう終わり

まず、一番大事なのは、絶対に一人で抱え込んで孤立してしまわないことです。

他の理事や区分所有者と手を取り合って、状況を共有することが大切です。

なぜならば、不正行為や嫌がらせは、ほとんどの場合、私たち住民の無関心に乗じて行われるからです。

特に「サイレント理事長」のもとで管理会社がやりたい放題やっている場合、住民一人ひとりの意識と行動が、本当にカギになります。

「自分が役員の間に何も起こらないでほしいな~」っていう甘い意識は今すぐ、捨てましょう。

「自分たちのマンションは自分たちで守るんだ」と、強く意識することは、何よりも重要で、不正を阻止するための第一歩となります。

そのような危機意識が、ほかの住民を促して、管理組合の監視機能も徐々に回復させることができるのです。

区分所有者の5分の1以上の賛成があれば、たとえ理事長がイヤだと言っても、臨時総会を開いて、理事長や理事をクビにすることもできます。

そして、日頃から積極的にマンション内のコミュニティに参加して、情報交換を密にすることも大切だといえます。

2. 外部の“プロ”を頼るべし。専門家の知恵を借りる

「あれ、これって不正なんじゃない?」「なんか嫌がらせを受けてるみたい」そう感じたら、マンション管理士や外部監事といった専門家に相談してみることです。

マンション管理士は、管理組合の運営全般に関する専門知識を持っています。管理規約の解釈や、総会の運営方法、修繕計画の立て方といったことでも、幅広く相談に乗ってくれます。

何よりも、中立的な立場から客観的なアドバイスをもらえるのが心強いですね。

特に、「サイレント理事長」のもとで管理会社が実権を握ってるケースでは、マンション管理士が具体的な問題点や解決策を教えてくれて、理事会を活性化させるための重要な役割を果たしてくれます。

ただし、マンション管理士は、人によって能力の差がかなり大きいです。 だから、「できるマンション管理士」を顧問にすることが、とても重要なポイントになります。

個人じゃなくて、複数名がチームとなってノウハウや知識を補完してサービス提供してくれる社団法人やNPO法人に依頼したり、周りのマンションで管理組合運営に熱心な方に、いい人を紹介してもらうといったことも一つの手ですね。

それから、監事を住民の中からではなく、外部のマンション管理士等の専門家にお願いするのも、とても有効な手段です。

管理組合の役員として選ばれた外部監事は、監事自身の判断で、必要に応じて臨時総会を招集する権利も持っています。

ですから、「サイレント理事長」のマンションにとって、とても強力な味方になってくれると考えられます。

顧問料は月に数万円かかることもありますが、顧問がいなかったせいで、長期的には何千万円、何億円もの損失が発生する可能性があることを考えたら、顧問料自体は安心して暮らすためや財産を守るための必要経費だと考えればいいと思いませんか?

3. 情報は徹底的に公開させる。私たちが“監視の目”になる

日頃から、理事会や総会の議事録に「あれ、なんかおかしいな?」って点がないか、注意深く確認することを、強く強くお勧めします。

管理組合の皆さんは管理会社からの報告書を「嘘偽りなく、信頼できる内容だ」と鵜呑みにしていませんか?

  それはダメです。内容をじっくり、厳しくチェックすることが、とても重要です。

私たち区分所有者一人ひとりが、厳しい目で常に理事会の議事録を熟読しておくことです。

そのことは、裏がありそうな事項を白日の下に晒すための、本当に有効な手段になります。

特に「サイレント理事長」のもとで管理会社が好き勝手してる場合などには、大きな工事の検討を極力、理事会では触れず、総会の直前で議案書にあげようとしたり、工事の必要性や、何故、その業者を選定したのかといった理由をきちんと議案書に記載しなかったりといった問題が起こりがちです。

だからこそ、疑わしい点があれば、「相見積もりは取ったの?」「どうやって業者を選んだの?」などと、住民から理事会に、理事会は管理会社に積極的に情報の開示を求めましょう。

「面倒だから任せきり」という姿勢を改め、常に目を光らせて、徹底的に追求していく姿勢がとても大切です。

前回と今回の投稿記事で、「暴走理事長」と管理会社が住民の利益よりも自分たちの利益を優先させる問題、「サイレント理事長」のもとでの管理会社による被害の現実、さらに、そこから大切なマンションを守るための対策について、詳しく解説してきました。

一番重要なのは、「理事はやりたくないな~」「自分の番の時は何も起きないでほしいな~」という、これまでの甘い認識を改めて、「問題解決に積極的に取り組むんだ」という能動的な体勢に切り替えることです。

そして、証拠を集め、住民同士で連携し、外部の専門家を活用して、理事長や管理会社に対して情報の公開を徹底することです。

これには、私たち個々人の努力だけじゃなくて、管理組合全体の意識と行動を変えていくことが求められています。

配管保全センターは、中立的な立場から、ムダなく最適な配管保全ソリューションを提供しているコンサルティング会社です。

配管の保全情報はもちろんですが、今日お話ししたような、マンション管理全体に関する重要な情報も、これからもどんどん発信し続けていきます。

配管の保全に関するお悩みはもちろん、マンションの管理運営に関して「これってどうなの?」「ちょっと疑問に思うんだけど」ということがあれば、お気軽にご相談ください。
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