2024年1月24日
この記事のカテゴリー : 漏水に関する保険

漏水時の保険に関して、管理会社に任せっぱなしだと、場合によっては、管理会社が保険会社に保険金を水増し請求する可能性があります。
一旦、その金額が支払われたとしても、次の保険の契約更新時に、保険料が値上げされたり、保険加入を拒否されることさえあり得ます。
もちろん、良心的な管理会社もありますが、配管保全センターにいただくお問い合わせでは、管理会社による保険の水増し請求が改善されず、お困りの組合の方々が多数いらっしゃるのが現状といえます。
今回は、階下漏水の事故対応を保険を使って行った場合、管理会社が水増し請求をしているとしたら、どのようにしているのか? またそれが管理組合にとってどのような影響を及ぼすのか? についてお話します。
また、そのような水増し請求を回避するための対策と、水増し請求により発生し得るリスクについてもお話しますので、ぜひ、最後までご覧ください。
修繕業者から管理会社に出された見積り額30万に対して、実際に管理組合から業者へ支払われた金額は70万で、差額40万円の一部が管理会社への手数料となります。
管理会社によっては、手数料を取らない、もしくは相場費用の1割程度を上乗せするといったところもありますが、今回の例のようにかなりの金額を水増して申請する会社もまだあります。
なお、管理会社だけでなく、修繕業者によっては、そもそも相場が30万円程度であるにも関わらず、修繕業者が水増しして見積もってきたり、関係のない箇所も「保険を使ってリフォームしましょう」と言ってくる場合もあります。
修繕業者が修復費用を水増しし、更に管理会社が金額の上乗せをして保険金を申請した場合、保険会社への保険請求額はかなり水増しされた額となることが考えられます。
事故対応には事務作業も発生するので、ある程度の手数料を管理会社がとるのは問題ないともいえますが、管理会社は損保会社からも代理店としての手数料をもらっているので、このケースのように見積り額に比べて請求額が大幅に高くなるのは、妥当とは言えないでしょう。
管理組合としては、特に損をしていないように思えますがそんなことはありません。次の保険料の更新時に、保険料が大幅値上げになったり、最終的には保険の加入を拒否されるリスクさえあるのです。
漏水のある度にで保険申請して、いくつかの漏水事故の合計で管理組合は1000万円近くの保険金を受け取ったが、保険の更新時に、その1000万円がまるまる保険料の見積もりに上乗せされていて、保険料が大幅にアップしてしまったといったケースも聞いてます。この場合は、修繕費用を保険会社に前払いしてもらい、後から管理組合が負担するのと同じことになります。
工事前に保険会社からの保険金支払い額がわかれば、管理組合としては管理会社にクレームできますが、被害を受けた区分所有者の希望で、保険金が分かる前に工事に着手する場合があります。
ケース②では、申請額よりも実際に支払われた保険金が少なくて、業者に支払う金額に満たなかった場合、管理組合が不足額の60万円を負担することを示しています。
不足額は、数百万円になる場合もありますから、管理組合としては、大きな負担となりかねません。
なお、修繕業者から出された見積り額がいくらなのかを管理会社に聞いても教えてくれない場合も少なくありません。
管理組合が不足額を支払った場合、不足額は加害者である上の階の区分所有者が支払うべきものなので、管理組合が加害者に請求しますが、加害者が支払に応じない場合もあります。
加害者が支払ったとしても、水増し請求されたがために加害者が多額の不足額を支払わなくてはいけないということになり、いずれにしろ、水増し請求によって管理組合もしくは加害者の大きな負担となります。
支払いタイミングや、誰が支払うかについては、さまざまなパターンがあるので、今回はそれらのパターンを網羅しきれませんが、基本的には保険金がいくらになるか、明確になってから工事をすることをお勧めします。
また、もともとの見積り額が5万円であれば、保険を使わないという選択肢も選べます。そうすると、事故回数を減らせるので、保険の契約更新時の値上がり額を抑えることが期待できます。
1回の事故のために、ケースによっては、次回の更新時の保険料の見積もりが100万円値上げされる場合もありますので、請求額を適正額に近づけることが大切なことがおわかりいただけると思います。
このような対応を管理組合が取ろうとすると、管理会社は24時間対応も行わないと言ってくる場合があります。
そうなると水回りのトラブル対応だけではなく、鍵や電気、ガス、窓ガラスの破損といったトラブルが起きた場合の24時間対応業者を管理組合が別途、見つけてくる必要があります。
管理組合が自分たちで保険対応する体制に切替えたくても、24時間対応がネックとなって切り替えられずに、仕方なく従来通り、管理会社に保険代理店業務を依頼し続けなくてはいけないといったことが少なくありません。
ただし、管理会社への委託契約に24時間対応も業務範囲内として記載されている場合は、管理会社は24時間対応をやめることはできませんので、委託契約書を確認してみてください。
また、ケース④と同様に、逆リプレースにつながる可能性が高まるので、急な逆リプレース宣言に備えるべく、別の管理会社を探し始めておくといったアクションも必要になってくると言えます。
なお、ケース①~⑤まで、管理組合が加入している個人賠償包括特約を使う場合は、漏水を起こした区分所有者の個人賠償保険や、被害者となった区分所有者の水濡れ補償といった保険と按分できますが、この対応をしてくれない管理会社のほうが、現在は多いと言えます。
按分することで、管理組合の加入している保険の値上がり幅を抑えることができるので、管理組合としては、極力、その対応をするように管理会社に依頼することをお勧めします。
差額の600万は漏水を起こした区分所有者が負担しなくてはいけない状況で、配管保全センターに相談が来ました。
そこで、他の修繕業者にも見積りをとるようアドバイスしたところ、適正額で工事を行うことができました。
相談をしていなければ、漏水を起こした区分所有者は法外な支払いをしなくてはいけないところでした。
なお、ケース⑥で、保険金の入金先を対応業者ではなく漏水を起こした区分所有者や被害を受けた区分所有者に指定した場合、対応業者が集金時のリスクを考慮して、その分、上乗せしてくる可能性があります。
保険申請の際に、支払先は修繕業者を指定することをお勧めします。
このサービスを使えば、管理会社から今後24時間トラブルサービスはしませんと言われても、問題ありません。
また逆リプレースのリスクについての対応もサポート可能となっています。
ご興味のあるかたは、お気軽にご相談ください。
