勉強部屋

給水管取替工事 屋内配管の露出を最低限に抑えた事例と費用

2023年6月16日
この記事のカテゴリー : 給排水設備の更新費用

マンションに受水槽や高架水槽があって、貯水タンクからの給水方式にしている場合、直結増圧の給水方式に変える工事を行う管理組合が増えています。

直結増圧に変更するにあたって、屋内の共用部の給水管も取替えることが多いので、今回は共用部の給水管の取替えの事例についてお話しします。

既存の共用部の給水管の立管は、下の画像のように、各世帯の水道メーターやガスメーターが格納されているパイプシャフト内を貫通して配管されています。

新たな共用部の給水管をこのパイプシャフト内に配管する際に、ガスメーターを取り外す必要があったり、左側の画像のようにパイプシャフト内のスペースが狭すぎると、給水管が埋まっているコンクリートを斫る作業が難航して、工事日数が長くなり、工事費用も嵩むことになります。

こういった場合は、パイプシャフト内に新規の配管を貫通させずに、露出配管で設置することが多いです。露出配管のほうが、工事費用が安くすみ、工事日数も短縮されるからです。

ただ、共用部の廊下内に配管が露出するため、見栄えが多少悪くなるというデメリットがあるのですが、今回は、新規の給水管の露出を最低限に抑えられた工事事例がありますので、そちらをご紹介したいと思います。

工事費用についても、お話しますので、是非最後までご覧ください。

動画

 

工事の概要

それでは、今回の工事の概要をご説明します。

工事の前までは、屋上に高架水槽があり、揚水ポンプで水をあげて、各階には高架水槽からの自然落下で給水する方式でした。

給水管の立管は、各戸のパイプシャフト内を7階から2階まで貫通しており、各戸のパイプシャフト内で水道メーターとつながっていました。

工事後は、高架水槽をやめて、直結増圧方式に変更します。

増圧ポンプから給水管の立管を一本立ち上げ、各階では共用廊下の天井裏に給水管を配管します。

屋外の工事概要

屋外では、下の左側の画像のようにマンション左奥に直結増圧ポンプを設置しました。

ポンプからは、上の右側の画像で水色の矢印で示したように、新規の給水管を配管して、マンションの裏側に通しました。

裏だけで配管できるルートがなかったために、今回はこのように正面ですがあまり目立たない配管ルートをとりました。

親メーターは、直結化によってピーク時の給水量が増加するために口径を30Aから40Aに増径し、下の画像のようにメーターバイパスユニットを設置しました。

水道局が定期的に親メーターを取替えるのですが、直結化すると、その作業中は断水になってしまいます。

そのような断水を避けるため、この地域では、親メーターの取替え作業中に断水しなくて済むようにこのメーターバイパスユニットを設置することになっています。

給水管立管の設置

下の左側の画像のように、マンションの裏に外階段があり、その踊り場の壁にあるパイプシャフト内に新規の給水管の立管を配管しました。

右側の画像は、赤枠のパイプシャフト内の中を下から上に見上げている画像です。立管が上の階に貫通して上がっていっています。

立管から分岐して、この階の各戸のパイプシャフト内の水道メーターにつなげるための給水管も見えます。

ご参考までにパイプシャフトの配管の様子を動画でご覧になってください

パイプシャフト内の立管はコンクリートの床を貫通して下の階から上の階に通されています。

立管から給水管を分岐させ、この階の各戸のパイプシャフト内の水道メーターにつなげるために、ドアの上の壁に沿って、新たに給水管を配管しています。

各階の共用廊下内の工事概要

このマンションは共用廊下の天井がケイカル板という材質で、容易に開けることができたため、下の左側の画像のように、天井を開けて新規の給水管を天井裏に配管します。

梁の部分は新規の給水管を通せないため、真ん中の画像のように天井下に露出させて配管しますが、ほとんど目立っていません。

次に、パイプシャフト内への配管ですが、右側の画像のように、各戸のパイプシャフトの上の壁に穴を開け、そこから新規配管をパイプシャフト内に入れて、各戸の水道メーターとつなげます。

下の画像は、共用廊下のビフォーアフターの画像です。

梁のところと、パイプシャフトの上に配管が露出していますが、工事前後で見た目は、あまり変わっていないということがお分かりいただけるかと思います。

パイプシャフト内の工事概要

各戸のパイプシャフト内の工事としては、まず、下の①の画像のように、給水管の立管からの既存の配管を撤去し、緑枠内で示した箇所で新しい配管を立管と暫定的に接続し、新しいメーターユニットにも接続しておき、メーターユニットの2次側を既存の専有部の給水管に接続します。

この作業では、各戸が数時間の断水になります。

②の画像では、直結増圧工事後に、パイプシャフトまでの新規給水管が配管されてから、黄色枠で示したように新規給水管とメーターユニットを接続します。既存の給水管の立管は水を抜いて残置します。

この作業当日は、終日全戸断水になります。

③の画像は、保温処理を終えた後の画像で、赤枠内が保温処理をした配管の様子です。

今回の工事の費用

最後に今回の工事費用についてお話します。

今回の工事内容としては、

まず、親メーターの口径を30Aから40Aに増径し、メーターバイパスユニットを設置しました。

それから揚水ポンプを直結増圧ポンプに替え、親メーターから増圧ポンプ、増圧ポンプから各世帯のパイプシャフト内までの共用部給水管を全て新規に配管しました。

共用部では天井裏に配管したり、同系色の塗料でカバーするなど、目につかないように工夫しています。

それから各世帯の水道メーターまわりの古い配管は異種金属接触腐食により水漏れを起こしやすいため、新しくメーターユニットに変えました。

工事費用としては、世帯あたり税抜で約28万円となりました。

関連キーワード

キーワードから関連記事をご覧になれます。

関連記事

勉強部屋動画記事一覧をみる