2026年5月15日
この記事のカテゴリー : 修繕積立金・専有部の取り扱い

そもそも、ホルムズ海峡封鎖が起きる前から、多くのマンションはすでに厳しい状況に置かれていました。
修繕積立金は慢性的に不足し、建物は老朽化し、住民は高齢化していく。さらにインフレで修繕工事の費用も上がり続けている。
すべてが重なって、築年数が経てば経つほど、スラム化の波にのみこまれていく方向に進んでいたんです。
それでも、海さえ穏やかであれば、皆さんが乗っているマンション号というボートは、なんとか浮いていられました。
ところが今、そのボートは嵐の中に放り込まれてしまいました。それはホルムズ海峡封鎖の影響によるものです。
日本政府は別のルートで石油を確保し始めていますし、備蓄もあるので不足はしていないと言われています。
ただ、実際の工事現場のレベルでは話が違います。
資材がいつ入ってくるのか、これから値段がどこまで上がるのか、今の時点では全く見通しが立たない状態が続いています。
この影響で、多くの施工業者が倒産のリスクにさらされる可能性も高くなっています。
そして怖いのは、騒動が落ち着いた後のことです。工事を先送りにしていた管理組合が一斉に動き出しても、倒産などで施工業者の数は減ってしまっている。
業者の取り合いになる中、もともと続いていた慢性的な人手不足も重なって、人件費はさらに上がり、工事費は封鎖の前よりも高くなり続けるという状況が、長く続く可能性があるんです。
数か月で好転する可能性がゼロとは言いません。でも、それだけを頼りにして、いつまでも波に揺られているわけにはいかないんです。
今すぐ方向を決めて、住民みんなで同じ方向に漕ぎ出さなければならない、そういう局面に来ています。
この投稿記事では、ホルムズ封鎖によってマンションの改修工事をめぐって何が起きているのか、そして管理組合が今すべきことは何なのかをお話しします。ぜひ最後までご覧ください。
まず、マンション管理にとって、ホルムズ海峡封鎖で何が起こったのかを簡単に説明します。
「石油が止まるのは困るけど、それとマンションの修繕工事がどうつながるの?」と思われた方、ここが重要なポイントです。
石油から作られる「ナフサ」という化学原料が、様々な工業製品の基礎材料になっています。
マンションの修繕工事に直結するものだけを挙げても、給排水管に使われる「樹脂管」、外壁塗装に使う「塗料やシンナー」、防水工事に使う「シーリング材や防水材」、そのほか「断熱材」や「養生材」。
工事現場で使うほぼあらゆる資材が、ナフサ由来の製品です。
これらが今、急激な値上がりと出荷制限という二重の打撃を受けています。
塗料やシンナーは最大80%の値上げ、断熱材は40%の値上げという事例も出ています。値上がりだけではなく、受注停止・出荷停止という事態も起きており、「発注したくても、いつ届くかわからない」という状況が現実に起きています。
さらに深刻なのは、着工済みの大規模修繕工事でも完工時期の見通しが立たないケースが出ていること、そして新規工事の待ち行列がどんどん長くなっていることです。
「うちはまだ関係ない」と思っていたとしたら、その認識は今すぐ改める必要があります。
残念ながら、ホルムズ海峡封鎖の状況が落ち着いたとしても、一度値上げした資材価格は、下がらないというのが関係者の大半の見方です。
人手不足や業者の倒産で工事を担える供給側能力自体が縮んでいる中、「修繕工事の費用は数年待っていれば必ず安くなる」と思い込むのは楽観的かと考えます。
なお、そう遠くない将来には、AIの進化によってロボットも発達し、工事のコストが劇的に下がる時代が来るとも言われています。
ただ、それをあてにして今何もしないでいる間にも、建物の老朽化は一日も止まりません。今、直面している現実とは切り離して対策するべきと考えます。
ホルムズ封鎖が起きる前から、多くのマンションはすでに深刻な状況にありました。
スラム化するマンションは今後増え続けると、専門家の間では以前から言われています。
つまり、ホルムズ封鎖以前から、すでにマンションというボートは難破しそうになっていると言えます。
海が穏やかだったから、なんとか浮いていられた。それが今、嵐の中に放り込まれてしまった。これが現実です。では、この状況をどう乗り越えるか?
今までも、積立金を上げたいけど、上げられないというマンションは非常に多くありました。
ホルムズ封鎖の影響で、工事費用の値上がりが進み、仮に3割上がったとすると、積立金も3割値上げしなければ帳尻が合いません。
しかし今までも値上げに苦労していたのに、年金生活世帯が増える中、さらに値上げができるマンションはほとんどないと言えます。「無い袖は振れない」というのが実情です。
収入を増やすことが難しいなら、支出を削ることを真剣に考えるしかありません。
そのために不可欠なのが、「本当に必要な工事を見極める選球眼」です。
皆さんのマンションには、長期修繕計画があると思います。12年周期や15年周期で、いつ、どこを、いくらで直すかが記載された計画書です。
現在、この計画書の数字は、ほぼ使い物にならなくなってきていると考えたほうがいいでしょう。
ほとんどの計画書では、インフレ率を見ていないか、見ていても2%程度のものです。
インフレ率という前提が崩れてきている以上、計画書に書かれた金額はあてにならないと言えるからです。
「では、修繕計画を作り直せばいいのでは?」と思われるかもしれません。ところが、資材価格がいくらになるか目途がつかない現状では、正確な数字を出すこと自体が難しいです。
誰も読めないので、作り直したくても、作り直せない状況です。
だからといって、何もせずに放置するのは、嵐の中のボートで漂流し続けるのと同じと言えます。
いま真っ先に必要なのは、数字の見直しではなく「意識の見直し」です。
これまでのような「管理会社が提案するままに発注する」「とりあえず全部やっておけば安心」という無駄の多いブヨブヨ体質から、「本当に必要なものだけにお金を使う」筋肉質な体質へ。
管理組合としての意識を根本から変えることが、いま急務と言えます。
いつまでもボートで波に揺られているわけにはいかない。今すぐ方向を決めて、住民みんなで同じ方向に漕ぎ出すことが、難破を免れる方法です。
では、具体的に何をすべきか。
まず、長期修繕計画上ですでに予定されている工事内容について、「この工事は本当にこの仕様で行うべきなのか」「高耐久材料を使って修繕周期を大幅に延ばす対策はないのか」を、ひとつひとつ見直すべきと考えます。
正確な数字は出せなくても、この問い直し自体は今すぐできます。
さらに、管理会社や設計コンサル、施工会社の選定は、これまで以上に慎重に行ってください。
工事を実施する場合は、万が一に備えて、施工会社が履行保証保険へ加入することを条件にすることをお勧めします。
また、「全部やろうとしない」という発想の転換も重要です。
一斉更新にこだわらず、本当に必要な箇所から優先順位をつけて、部分補修や延命という選択肢も視野に入れることが求められます。
でも「意識を変えよう、選球眼を持とう」と言っても、このような専門的な事案に関して、突然自分たちだけで判断できるようになるわけではありません。
嵐の中でボートを正しい方向に漕ぐには、信頼できる水先案内人が必要です。
管理組合の懐事情に寄り添いながら、「この工事は本当に必要か」を一緒に厳しく精査し、筋肉質な管理への意識改革に伴走してくれる。
そういう親身なパートナーを見つけることが、これからの時代の管理組合にとって、最も重要な判断のひとつといえます。
今回お伝えしたことを、最後に整理します。
ホルムズ封鎖によって、マンション修繕工事を取り巻く環境は一変しました。
「情勢が落ち着けば値段は戻る」「まだ先の話だから関係ない」「管理会社に任せておけば大丈夫」「AIが解決してくれる」。これらは、いずれも危険な思い込みです。
もともと難破しそうなボートが、今や嵐の中に放り込まれています。
工事費が3割上がっても、積立金を3割値上げすることは現実には難しい。今までの長期修繕計画はもう使い物にならない。
だからこそ、いま求められるのは数字の見直しより先に「意識の見直し」です。
ブヨブヨと無駄の多い体質から、筋肉質で必要なものだけに絞る体質へ。
いつまでも波に揺られているわけにはいきません。今すぐ方向を決めて、みんなで同じ方向に漕ぎ出す時です。
「うちのマンションはどこから手をつければいいのか?」「本当に必要な工事とそうでない工事をどう見極めればいいのか?」「信頼できるパートナーをどう選べばいいのか?」、そうお悩みの理事会の方は、配管保全センターにお気軽にご相談ください。
配管保全センターでは、あと何年住み続けるか、配管の材質は何か、修繕積立金の状況等を総合的に判断して、みなさんのマンションの最適な保全方法を無料にてご提案しております。お問い合わせはこちらです。
